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新卒就職戦線は一転して過熱
●  学生の就職率は確実に回復
  2006年3月大学等卒業予定者の就職状況を、厚生労働省と文部科学省が調査した。昨年から好転していた就職率は一段と回復し、一部過熱の状況を呈している。
  まず、この春の学校卒業予定者数は大学生では男女合計約55万人で、昨年とほぼ同様である。うち就職希望者は約38万人で、昨年の約37万人に比べ増加した。短大の卒業生は約10万人で、うち就職希望者は約7万人となっている。
●  大卒女子も男子並みの高就職率
  大学卒の就職希望者の就職率は95.3%であり、前年の93.5%を2ポイント近く上回っている。男子は95.5%で前年の93.3%から2ポイント以上回復している。女子は95.0%で前年の93.8%からやはり改善しており、女子大生も男子並みの就職率となっている。
  大学について詳しくみると、国公立の就職率は94.4%、私立は95.5%。前年は国公立が94.0%で私立が93.4%と、国公立が私立を上回っていたが、今年は逆転している。文理別では文系が95.1%であるのに対し理系が96.3%と、理系が就職有利となっている。
  一方、短大(女子のみ)は90.8%で前年の89.0%からは2ポイント近く改善しているものの、大学生とは格差がついている。
●  就職率の地域格差は縮小
  前年の大卒就職率は全国平均で93.5%だったものの、地域によって格差がみられた。例えば関東地区95.3%、近畿地区94.2%、中部地区94.0%に対し、北海道・東北地区が87.6%、中国・四国地区が91.2%、九州地区が91.7%というように大きな差があったのである。
  だが今年は就職率の格差が縮小している。関東地区95.9%、近畿地区95.6%、中部地区97.8%に対し、北海道・東北地区が91.7%、中国・四国地区が94.7%、九州地区が92.9%となっており、景気回復が地方にも波及していることが分かる。採用難で地方にも積極的に企業からのアプローチがあったことも一因であろう。
●  来年度は一段と過熱か
  団塊世代の退職と若年人口減により、企業は引き続き採用を活発に行うとみられる。ある民間調査によれば、来年就職予定者は重複内定者が38.8%もいるという(2006年5月20日 日本経済新聞)。就職戦線は過熱しているが、4割もの内定者が重複しているということは、企業から見たら内定を出した学生の2割が辞退することになり、頭が痛い問題である。
出所:厚生労働省・文部科学省「平成17年度大学等卒業者就職状況調査(平成18年4月1日現在)について」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.05.29
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