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障害者の就職件数、最多を記録
●  就職件数は年間4万人近く
  4月に改正障害者雇用促進法および障害者自立支援法が施行され、障害者の就労促進策が求められている。経済的な自立を支援するため、ハローワークにおいても障害者の職業紹介が推進されている。こうした中、厚生労働省は2005年度におけるハローワークでの障害者向け職業紹介の実績を発表した。
  それによると、ここ10年で有効求職者数はおおむね増加しており、2005年度では職を求めている障害者は15万人近くに達した。実際に職を得た「就職件数」は約3万9,000人と過去最多を記録。かつては3万人未満であったものが、いまや4万人に届こうとする勢いだ。
  これは景気の回復によるものとする見方がある一方、障害者雇用に関する当局の指導が強化されたためとの意見もある。
  有効求職者数の伸びにもかかわらず数年前まで低迷していた就職率だが、就職件数の増加に伴い、就職率の低落傾向には歯止めがかかっている。
●  知的障害者の就職率が高い傾向
  有効求職者数の障害別の内訳をみると、身体障害者が約9万5,000人で全体の65%を占める。知的障害者は3万1,000人で21%、精神障害者は1万9,000人で13%となっている。
  だが実際の就職率だと、身体障害者は38.2%、知的障害者は50.0%、精神障害者は33.1%となっている。知的障害者の就職率は比較的高いものの、身体障害者と精神障害者はこの10年来、30%台にとどまる。
  業種別の就職状況では、サービス業33.5%、製造業27.1%、卸・小売業・飲食業が19.9%。職種別にみると生産工程・労務の職業が51.0%、事務的な職業が19.5%などとなっている。
  知的障害者は7割以上が生産工程・労務の職業に就いている。精神障害者では生産工程・労務の職業が60.1%、事務職が10.5%だ。これらとは逆に、身体障害者は生産工程・労務の職業が39.2%と精神障害者に比べて少なく、事務的な職業が28.3%と高い。
●  都市部ほど下がる就職率
  都市圏では障害者の就職率が低い。埼玉県32.4%、千葉県31.3%、東京都34.8%、神奈川県30.6%、大阪府28.6%という具合だ。身体障害者に対する事務業務のニーズは高いものの、都市部ではオフィス環境をバリアフリーにするのが難しいことが原因と思われる。
  地方に行くほど、就職率は高まる傾向にある。新潟県56.2%、山形県50.7%、栃木県50.1%、富山県53.5%、福井県58.5%、長野県50.2%、静岡県52.2%、島根県54.0%、香川県53.0%という高い割合だ。地方には知的障害者などが働きやすい工場などが多いためと推測される。
出所:厚生労働省「平成17年度における障害者の職業紹介状況」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.06.05
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