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国税庁、交際費に関するQ&Aを公表
●  16項目の質問と回答を掲載
  平成18年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する等の法律」によって、法人の交際費課税(措置法61の4、68の66)が改正された。適用は平成18年4月1日以後開始事業年度からとなる。
  この改正はほぼすべての法人に影響があるが、具体的実務において、いくつか疑問点が挙がっていた。そこで国税庁は5月、「交際費等(飲食費)に関するQ&A」と称して16項目の質問および回答を公表した。
  今回は、そのうち特に重要と思われるものを抜粋して解説する。
●  専ら従業員等のための飲食費
  今回の改正交際費課税については、飲食費用のうち、支出の相手先が会社内の役員や従業員又は身内であるその親族に対するもの(いわゆる社内交際費)は、適用対象から除かれている。
  具体的には、改正措置法条文の第3項第2号に「飲食その他これに類する行為のために要する費用」に続き、「(専ら当該法人の法人税法第2条第15号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。)」とある。
  社内交際費の判断基準について、取り扱いの指針となる二つのQ&Aを紹介しよう。
(Q5)今般の改正の対象となる飲食費には「社内飲食費」を含まないこととされていますが、接待する相手方である得意先等が1人でも参加していればよいのでしょうか。
(A)飲食費のうち「社内飲食費」については、1人当たり5,000円以下のものであっても、原則として、交際費等の範囲から除かれることとはされません。(ただし、他の会議費等の費用として交際費等の範囲から除かれる場合があります。)。
この社内飲食費に関しては、仮に、接待する相手方である得意先等が1人であっても、その飲食等のために自己の従業員等が相当数参加する必要があったのであれば、社内飲食費に該当することはありませんが、得意先等の従業員を形式的に参加させていると認められる場合には、社内飲食費に該当することがあります。
(Q6)今般の改正の対象となる飲食費には「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するもの」を含まないこととされていますが、接待する相手方は親会社の役員等でもよいのでしょうか。
(A)今般の改正の対象となる飲食費から社内飲食費が除かれることの意味するところは、接待に際しての飲食等の相手方が社外の者である場合の飲食費が対象となるということです。したがって、資本関係が100%である親会社の役員等であっても、連結納税の適用を受けている各連結法人の役員等であっても、相手方としては社外の者となることから、その者との飲食に係る飲食費が社内飲食費に該当することはありません。
また、同業者パーティに出席して自己負担分の飲食費相当額の会費を支出した場合や得意先等と共同開催の懇談会に出席して自己負担分の飲食費相当額を支出した場合についても、互いに接待し合っているだけであることから、その飲食費が社内飲食費に該当することはありません。
  社内交際費に該当するかどうかは、相手方が社内か社外かで決まるということなので、たとえ資本関係100%の親会社の役員などが飲食の相手であっても、今回改正の適用対象となるようだ。
●  1次会と2次会の費用
  実務において専門家が気にしていたのが、同じ相手方と1次会、2次会を行ったときの取り扱いである。それについても回答が掲載された。
(Q10)飲食費が1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定に当たって、飲食等が1次会だけでなく、2次会等の複数にわたって行われた場合には、どのように取り扱われるのでしょうか。
(A)1次会と2次会など連続した飲食等の行為が行われた場合においても、それぞれの行為が単独で行われていると認められるとき(例えば、全く別の業態の飲食店等を利用しているときなど)には、それぞれの行為に係る飲食費ごとに1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行って差し支えありません。
しかしながら、それら連続する飲食等が一体の行為であると認められるとき(例えば、実質的に同一の飲食店等で行われた飲食等であるにもかかわらず、その飲食等のために要する費用として支出する金額を分割して支払っていると認められるときなど)には、その行為の全体に係る飲食費を基礎として1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行うことになります。
  1次会、2次会が単独の行為と認められれば良いようだ。従って、通常店を変えて行う1次会、2次会は、それぞれに対して今回改正の取り扱いが適用となると考えていいだろう。
出所:国税庁「交際費等(飲食費)に関するQ&A」
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.06.05
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