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企業の喫煙対策、トップの問題意識がカギ
●  事業所では3割が喫煙者
  国を挙げて生活習慣病対策が強化されるなか、企業における喫煙対策はどのように進んでいるのだろうか。
  厚生労働省の調査によると、事業所で働く従業員のうち喫煙者の割合は「20〜40%未満」が全体の4割、「20%未満」と「40〜60%未満」がそれぞれ2割であり、平均して3割前後のようだ。
  職場でたばこをすう愛煙家は相変わらず多いが、喫煙対策に「取り組んでいる」事業所は88.2%に上っており大部分の事業所において喫煙対策が取り組まれていることが分かる。「取り組んでいない」のは11.8%にすぎない。
●  全面禁煙の事業所は2割
  喫煙対策に取り組んでいる事業所における内容をみると、「喫煙コーナーを設置し、それ以外は禁煙」するのが40.9%、「喫煙室を設置し、それ以外は禁煙」とするのが35.6%であった。事業所の4分の3においては、対策は「分煙」止まりということだ。「全館禁煙」としているのはわずか20.7%にすぎない。
  なお全館禁煙の事業所において、「屋外に喫煙場所を設けている」のは77.7%、「特に配慮してない」のは17.0%となっている。
●  まったく取り組んでいない事業所も
  事業所の担当者に尋ねると、受動喫煙による健康障害については「知っている」が85.6%、「少しは知っている」が13.9%であり、たばこの害についてほぼ理解しているようだ。
  それなのに喫煙対策に取り組んでいない事業所の理由は「喫煙室や喫煙コーナーを設けるスペースがない」ためが48.1%、「社内合意が得られない」ためが37.3%、「取り組む資金がない」ためが17.9%、「必要性を感じない」ためが16.0%、「取り組み方が分からない」が14.9%である。
  これらの事業所では、トップ層の問題意識の低さからくる課題回避状態に陥っているようだ。
●  喫煙教育の割合は低い
  前述したように、まだ2割の事業所しか実施していない「全館禁煙」だが、今後「計画中」としているのは4.5%、「検討したい」は25.1%である。一方、残り半数の事業所は全面禁煙に前向きではない。
  喫煙者率を低下させる禁煙サポートなどについては「実施済み」が5.8%、「計画中」が4.3%と、まったく普及していないようだ。
  「喫煙に関する教育」については、「実施済み」は11.8%、「計画中」は5.3%、「検討したい」が38.0%であり、具体的に喫煙教育に取り組んでいるのは2割弱という結果だ。
  喫煙の害はすでに知れわたっているので、もはや教育だけで喫煙を抑制できる状況ではないのかもしれない。
出所:厚生労働省「職場における喫煙対策の実施状況について」(2006年5月発表)
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.06.12
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