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住宅供給が盛んな今、資金贈与はここに注意!
●  税制改正で住宅資金贈与の取り扱いが変わった
  昨今、都心を中心に住宅が大量供給されているが、そのとき必要な資金は皆さんどのように工面されているだろうか。中には親などから贈与してもらう人もあるだろう。
  しかしここで注意しないといけないのは、「住宅取得資金の贈与」について、平成18年度税制改正で大きく取り扱いが変わったことだ。
  一つは、5分5乗方式による「住宅取得資金贈与の特例(暦年課税)」という制度が昨年12月31日をもって廃止された点だ。この制度は、父母または祖父母から、自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築等のための金銭の贈与を受けた場合に、1,500万円までの部分については5分5乗方式(贈与金額を5分の1にして税額を計算し、その金額を5倍して納税額を算出する方法)により贈与税を計算することができるというものだ。550万円までの贈与であれば贈与税はかからない計算となるので、利用者も多かったとみられる。しかし現在では使えない制度なので注意が必要だ。
  もう一つの改正は、平成15年より導入された「住宅取得資金贈与の特例(相続時精算課税)」が2年間延長されたことだ。当初平成17年12月31日で期限切れとなる予定だったのが、平成19年12月31日までに変更された。
●  住宅取得資金贈与の特例(相続時精算課税)の留意点
  住宅取得資金贈与の特例(相続時精算課税)とは、「20歳以上の推定相続人である子が、親(年齢制限なし)から、自己の居住用の一定の家屋(※)取得等するための資金の贈与を受けた場合で一定の場合には、その住宅取得資金のうち3,500万円までの贈与部分については贈与税を課さない」という制度である。
  通常の相続時精算課税制度における控除枠は2,500万円だが、住宅取得に限っては1,000万円上積みされているのだ。この適用を受けるためには、贈与を受けた翌年3月15日までに、贈与税の申告書の提出と合わせて「相続時精算課税選択届出書」や住民票の写しなどの書類を添付しないといけない。
  このように、贈与金額3,500万円までは税金がかからないという制度ではあるが、親が亡くなって相続税を計算するときには、この贈与分についても贈与時の価額で持ち戻しがなされる。また3,500万円を超える贈与については、一律20%の贈与税がかかる。
  さらには、いったん相続時精算課税制度を選択すると暦年課税制度に戻ることはできない。この点も事前に留意されたい。
(※) 一定の家屋
1.家屋の登記簿上の床面積が50u以上であること。
2.床面積の2分の1以上が専ら居住の用に供されるものであること。
3.中古家屋の場合
(平成17年4月1日以後取得については、一定の耐震基準を満たせば築年数制限なし)
(1)耐火建築物 → 25年以内に建築されたものであること。
(2)耐火建築物以外 → 20年以内に建築されたものであること。
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.06.12
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