>  今週のトピックス >  No.1255
改正高齢法、雇用確保措置導入は9割以上
●  ほとんどの企業が対応済み
  働く意欲を持つ高齢者の就労促進を目的とした「改正高年齢者雇用安定法」に基づき、4月1日から高年齢者の雇用延長対策が企業に義務付けられた。具体的には(1)定年年齢の引上げ、(2)定年制の廃止、(3)継続雇用制度の導入、のいずれかが求められている。
  このたび厚生労働省は300人以上の企業について、雇用延長対応策の導入状況を調査した。
  それによると、改正法に沿った雇用延長対応策を導入済みの企業は全体の95.6%で、ほとんどの企業が当てはまる。対応できていない残り4.4%の企業は「労使協議はほぼ終了したが、労使協定または就業規則の整備が遅れている」、「継続雇用制度の対象者の基準等、雇用確保措置の実施について労使協議が継続中である」などを主な理由に挙げている。
  対応済み企業の割合を規模別に見ると、大きい企業ほど取り組みが進んでいる傾向にある。とはいえ、企業規模にかかわらず全体の9割以上はすでに対応済みだ。
●  定年の延長・廃止はわずか
  対象企業数が多い業種を中心に産業別の状況を見ると「運輸業」「金融・保険業」「製造業」などが平均をやや上回っているのに対し、「情報通信業」「医療、福祉」「卸売・小売業」などは下回っている。だが総じて産業別の対応には、ほとんど差がないといえるだろう。
  対応策の内訳は、「継続雇用制度の導入」が93.2%に上る一方、「定年の定めの廃止」や「定年年齢の引上げ」は両者合計しても6.8%にすぎない。本格的な定年延長にはほど遠い内容だ。
  継続雇用制度の内容をみると、同制度を導入した企業のうち、希望者全員を継続雇用する企業は20.4%にとどまる。大部分の企業は「対象者となる基準を定め、基準に該当する者のみを継続雇用する」としているのが実態だ。なお労使協議が調わず、同法に基づく特例措置により、就業規則等で基準を定めた企業は11.3%となっている。
  雇用引き上げの上限年齢は「62〜64歳」とした企業が56.8%だが、改正法の義務化スケジュールを前倒しして「65歳以上」とした企業(定年の定めのない企業を含む)も、43.2%を占めている。
出所:厚生労働省「改正高齢法に基づく高年齢者雇用確保措置の導入状況について」(平成18年6月発表)
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.06.26
前のページにもどる
ページトップへ