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財政赤字は歳出削減優先、消費税1〜2%増へ
●  財政赤字、7割は歳出削減で対応
  政府・与党は、プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化の青写真を発表した。7月に閣議決定される「骨太の方針」に盛り込まれる。
  それによると2011年までに、11兆4,000億円から14兆3,000億円程度の歳出削減を実施し、それでもなおプライマリーバランスの赤字解消に必要とされる2兆〜5兆円程度については、消費税などの増税でまかなうとしている。
  現状で赤字額は16兆5,000億円程度と試算される。歳出削減によって赤字全体の約7割をカバーしようということだ。
●  今後5年間の歳出削減目標
  各項目の歳出削減目標をみていこう。
  社会保障費については当初想定していた予算に対して1兆6,000億円程度抑制する。公務員人件費は2兆6,000億円程度と大きく削減することとした。社会保障費の削減幅が少ないのは、国民生活への影響を配慮したためのようだ。
  公共投資については当初案の「年3%減を基本的に継続」を変更し、「年3%減を基本的に継続し、物価上昇などを考慮し年1〜3%減に」と、政治的な裁量で削減幅を変えられるような取り扱いとなった。これによって改革が後退しないように願いたい。
●  2009年に消費税1〜2%引き上げか
  「歳出削減を優先する」という発表を受けて、消費税の税率引き上げ幅は大きく縮小されることとなった。
  とはいえ2兆〜5兆円程度の赤字を抱える現状においては、消費税は1〜2%上がるとみられる。一般的に、消費税が1%アップすると、税収はおおよそ2兆5,000億円程度増えるといわれている。
  与党は来年夏の参院選後に増税論議を活発化させたい意向だ。そう考えると来年中に国会を通過したと仮定して、消費税率の引き上げは2009年実施というスケジュールが想定される。
●  改革の成果を反映
  「2007年にも消費税率二けた増加」などという見出しが少し前に新聞紙上を踊っていたことを思えば、今回の政府・与党の発表は改革に相当意気込みを感じる内容といえる。ただし名目経済成長率3%を前提としているため、官民一体となって日本経済を盛り上げていくことが、ひいては日本の財政健全化に寄与するという考えなのだろう。
  この内容は改革の成果を大いに反映しているとわたしは考える。ポスト小泉の政府もぜひ今回の発表を実行につなげてほしい。
国債の発行や元利払いなどを除いた財政収支を指す。国債発行の増加をくい止める上でも重要な数値となる。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.07.03
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