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夏のボーナス運用、注目商品は?
  6月、7月といえばサラリーマンにボーナスが支給される時期である。支給額が前年比プラスとなった企業もかなり増えており、ボーナスを活用した資産運用を考えるサラリーマンも多いのではないだろうか。
  資産運用は、運用する資金の性格はもちろん、運用可能期間によって選択する金融商品が大きく異なってくる。そこで今回は、夏のボーナス運用において運用期間を「1年以内」「5年以内」「運用期間を定めない」の3つに分け、それぞれ注目される金融商品を考えてみよう。
●  1年以内の短期間運用では?
  運用期間が長いほど金利も高くなるのが一般的であるため、1年以内という短期間ではあまりリターンは見込めない。そのような中で少しでも期待できる商品は、下表の通りである。
金融商品 主な取扱金融機関 その理由
MMF 証券会社 日銀の量的緩和政策の解除に伴い、短期金利も上昇しつつある。それに伴い、MMFの配当も上昇が期待できる。1カ月経過後は、解約手数料なしで解約可能。
キャンペーン定期預金 銀行 3カ月定期・6カ月定期など短期の定期について、キャンペーン金利を設定している場合がある。
外貨預金 銀行 米ドル・ユーロ・豪ドルなど通貨によって金利、手数料が異なる。注目は、手数料が外貨の中で低く、金利が1年もので4%前後に達している米ドル。しかし円高には注意が必要。
●  5年以内の中期運用では?
  5年以内の運用期間が見込める商品ということになれば、最近はある程度の金利が期待できる商品も増えてきている。中でも個人向け国債は固定金利で1%を超えており、5年間運用期間を確保できるのであれば、最もチェックしておきたい金融商品といえる。
金融商品 主な取扱金融機関 その理由
ミニ公募債 証券会社・銀行 2年・3年満期で発行される地方債。最近の金利情報によっては、銀行預金よりも高金利となっているケースが多い。発行体の信用リスクによって金利が異なる。
個人向け国債(固定・5年) 証券会社・銀行・郵便局 5年満期で固定金利の国債。毎回の発行が1兆円前後という人気商品。7月18日発行の3回債は利率1.3%(5年間固定)。銀行預金との金利差も大幅拡大しており、過去最高の発行額となる可能性が高い。
●  運用期間を定めない長期運用では?
  運用期間を特に定めず長期運用が可能ということであれば、ある程度リスクをとりながら運用する金融商品(以下、リスク性金融商品)の検討も一案といえる。リスク性金融商品のうち、比較的小口で投資可能な代表例としては下表の商品が考えられえる。
金融商品 主な取扱金融機関 その理由
外貨建MMF 証券会社 外貨預金と異なり満期はないので、円高が進行した際には、円安になるまで様子を見ながら保有することが可能。米ドル・ユーロ・豪ドルなど通貨によって金利、手数料が異なる。注目は、外貨預金同様に手数料が外貨の中で低く、金利上昇中の米ドル。円高には注意が必要。
海外債券 証券会社 主要通貨だけでなく、南アフリカランドなどといった通貨建ての債券も高金利で発行されている。海外債券の中途換金時は販売会社の買い取りとなるため、市場価格と買取価格に差が発生する点に注意。
投資信託 銀行・証券会社・郵便局 株式・債券・REITなどさまざまな投資対象がある。小口から投資可能なため、分散投資も可能。最近では株式・債券・REITが1本のファンドで投資可能な商品や、BRICsへの投資商品も人気を集めている。
ミニ株・株式 証券会社 ミニ株は通常の取引単元の10分の1から取り引きでき、小口でさまざまな株式へ投資可能。配当金も通常の株式同様に支払われる。
株式においても、単元株制度の導入で従来より小口で投資できるようになった銘柄も多い。しかしリスクは債券に比べ大きいため、ボーナス資金など限りのある資金では過度な投資に注意が必要。
個人向け国債(変動・10年) 証券会社・銀行・郵便局 10年満期で変動金利の国債。1兆円以上発行される人気商品。7月18日発行の15回債は、利率1.1%(初回金利)。半年ごとに市場金利に合わせて適用金利が変動し、金利上昇局面では固定金利と比べ有利だ。満期前の中途解約は手数料が発生する点に注意が必要。
個人向け国債の場合、1年相当経過後は実質の元本割れはないのでリスク性金融商品とはいえないが、定期金利と比較した金利優位性や変動金利であることを考え、長期運用の商品としてピックアップした。
  ボーナス支給額の増加のほか、資産運用を取り巻く環境が一時期に比べてかなり改善していることもサラリーマンの投資意欲を刺激している。郵便局の投信窓販参入なども加わり、今や個人の資産運用は過去最大のブームを迎えているといえる。ボーナス資金を活用した資産運用熱は一層高まっていくだろう。
注:当記事は、あくまで筆者の見解や予想、考え方を紹介したものであり、個別商品の売買の推奨を意図したものではありません。
2006.07.03
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