> 今週のトピックス > No.1265 |
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国民年金保険料、免除手続きに新制度を導入 | |||||||||||||||||||||||
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![]() ● 不正免除手続きと新制度導入
複数の社会保険事務所・事務局が未納者に無断で国民年金保険料の免除手続きをしていた事件は前代未聞であり、年金に対する不信感をさらに増すことになった。社会保険庁は職員の大量処分に踏み切る方針を決めたようであるが、国民の怒りはこれで収まるわけではない。しかし時間の経過とともに、この話題が取り上げられることも少なくなっている。
そのような中、7月から国民年金保険料の免除手続きに新制度が導入された。従来の「全額免除」「2分の1納付(半額免除)」「学生の保険料の納付特例」、「30歳未満の保険料納付猶予」の4つに加え、このたび「4分の1納付」「4分の3納付」という2つの段階が加わったのである。 経済的な理由などで保険料を納めることが困難な場合、申請によって保険料の納付が所定の割合で免除される。今回の新制度導入は、保険料を納付しやすい環境の整備を一層進めたものといえる。 だが未納率の著しい改善が見られない現状においては、これが果たして抜本的な手立てであるかどうかは甚だ疑問だ。新制度がどの程度利用されるかについては、今後慎重に見極めていく必要がある。 ![]() ● 保険料免除の要件
免除要件は、前年の年収から必要経費を差し引いた「所得」で決まる。それぞれの免除段階ごとに基準を求める計算式が定められており、前年所得がこの範囲内であることが必要だ。
まず、基本となる「全額免除」「半額免除」から確認しておこう。 ![]() ◇全額免除
○保険料の全額(13,860円)が免除
「全額免除」の期間については、年金額が3分の1となる(全額納付した場合との比較)。 ○所得基準 (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
例:単身世帯…前年所得が57万円までの場合に、全額免除の対象となる ![]() ◇2分の1納付(半額免除)
○保険料が半額の 6,930円に
「2分の1納付(半額免除)」の期間については、年金額が3分の2となる(全額納付した場合との比較)。 ○所得基準 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
![]() 次に、新たな制度の免除要件を確認しよう。
![]() ◇4分の3納付
○保険料が10,400円に
「4分の3納付」の期間については、年金額が6分の5となる(全額納付した場合との比較)。 ○所得基準 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
![]() ◇4分の1納付
○保険料3,470円に
「4分の1納付」の期間については、年金額が2分の1となる(全額納付した場合との比較)。 ○所得基準 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
![]() ● 免除手続きには申請が必要
社会保険庁では、世帯構成別に保険料免除となる所得の目安を作成している(下図参照)。
免除制度にはまだ一般に広く知られていないが、いずれも申請主義であることが一番のポイントである。 社会保険庁および各社会保険事務所は、不正な免除手続きをすることなく納付率を挙げていくよう、大改革を行ってほしい。 ![]() 【一部納付(一部免除)となる所得基準の目安】
(社会保険庁資料をもとに作成)
![]() (庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
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2006.07.10 |
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