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会社法施行後初の株主総会  四半期配当や買収防衛策が話題に
●  9割以上が定款変更
  会社法施行後初めての株主総会が、6月末一斉に行われた。9割以上の企業が「会社の憲法」ともいうべき定款を変更したほか、買収防衛策導入や監査法人問題など注目点が多い総会となった。その割には否決される議案は少なかったようで、大きな波乱はなかった。「もの言う株主」が台頭するなか、経営側は事前の説明を徹底したようだ。
  今回最も注目されたのは「四半期配当」だ。これまでの商法では「年2回まで」と決まっていた配当回数の制限が、会社法では廃止され、定款を変更すれば、例えば四半期に一度配当することもできるようになる。配当がこまめに受け取れるようになれば株主にとっては有利なはずだ。だが総会では任天堂の定款変更議案が否決され、土壇場で議案を取り下げる企業もあった。
  問題となったのは、配当などの剰余金処分権限を株主総会から取締役会に移す必要がある点だ。四半期配当するという名目で、株主のものであるはずの剰余金を取締役会に好き勝手使われてはたまらないと海外投資家などの反発に遭った模様だ。
●  買収防衛策はほとんど可決
  昨年は取締役会で導入を決める企業が多かった買収防衛策だが、今年は100社超が株主総会に議案を提出した。株主に事前に承認を得ておかないと、いざというとき発動できない恐れがあるからだ。
  「もの言う株主」として知られる企業年金連合会は、「株主総会の決議があって初めて発動できる防衛策でないと賛成できない」としていたが、企業側の事前説明が奏功したようで、反対は82件中7件にとどまった。買収防衛策が株主に否決された企業はほとんどなかった。
●  総会後に「珍事」が二つ
  株主総会は予想されていたより波乱が少なかったが、総会後に二つ「珍事」が起きた。一つ目は日本航空が総会後わずか二日後に大型公募増資を発表し、発行済み株式数を4割近く増加させる異例の資金調達に踏み切ったことだ。日航は相次ぐ不祥事による顧客離れで財務力が低下し、なんらかの資金が必要だった。これを市場から公募増資という形で調達すると、既存株主の一株当たり利益は4割も目減りしてしまうことになる。実際、日航の株価は増資発表後に急落した。公募増資そのものはもちろん合法だが、株主総会で株主に対して説明するのが筋だった。
  もう一つは任天堂など株主総会で議案が否決された4社が、議案が可決されたと記載した通知を発送していたこと。決議通知には配当受け取りに必要な書類も入っていたことから迅速な発送を優先したようだが、いまだに総会を甘く見ている企業の体質を浮き彫りにした。
2006.07.18
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