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豪雨被災者に税制上の救済措置  国税庁
●  平成18年7月豪雨に対応
  今年は大雨が日本各地に猛威をふるい、死者・行方不明者20人以上、浸水家屋1万棟以上と被害が拡大している。気象庁は九州などで発生した豪雨について「平成18年7月豪雨」と命名した。心よりお見舞い申し上げる。
  今回の豪雨に対応して国税庁は「大雨により被害を受けた皆様へ」という案内を出した。このような災害時における税制上の救済措置が掲載されている。その内容を解説しよう。
●  まずは、税金の支払いに「待った」を!
  大雨などの災害により相当の損失を受けた場合、税務署長に申請することによって、税金の支払いに「待った」をかけてくれる制度がある。税金の支払期限を延長してくれるのだ。申請が認められると、納税を待ってもらっている期間中、延滞税が免除される。
●  確定申告で選ぶことのできる制度
  そのほかに、災害で住宅、家財などに損害を受けたときには、「雑損控除」か「災害減免法における軽減免除」のうち、有利な方を選ぶことができる。これらは確定申告で行う。
○雑損控除
  雑損控除とは、所得控除として一定の金額を全体の所得金額から控除することができる制度だ。ただし別荘やぜいたく品は対象外である。ここで控除できる「一定の金額」とは以下に述べる二つのうち、いずれか多い方の金額となる。
  損失額が大きく、その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができる。
<雑損控除で控除できる一定の金額>
・(差引損失額−総所得金額等)×10%
または
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)−5万円
(※) 差引損失額
 損害金額+災害関連支出の金額―保険金などにより補てんされる金額
 ・「損害金額」…損害を受けたときのその資産の時価を基にして計算した損害の額
 ・「災害関連支出の金額」…災害により滅失した住宅、家財を除去するために支出した金額など
 ・「保険金などにより補てんされる金額」…災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金など
○災害減免法における軽減免除
  この制度の適用要件は、被災者の合計所得金額が1,000万円以下(サラリーマンの場合、年収約1,200万円以下)であり、災害によって受けた損害額が住宅または家財の2分の1以上であることである。要件を満たすことができない場合は、前述の「雑損控除」を検討することになる。別荘やぜいたく品が対象外となるのは、「雑損控除」と同様だ。
  税金の減免額は以下のとおりである。
・合計所得金額が500万円以下…所得税全額減免
・合計所得金額が500万円を超え750万円以下…所得税2分の1減免
・合計所得金額が750万円を超え1000万円以下…所得税4分の1減免
  雑損控除との大きな違いは、税金が直接減免されるところだ。雑損控除と災害減免法における軽減免除の両方を受けることはできないので、ご留意いただきたい。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.07.31
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