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国税の滞納残高、7年連続で減少
●  新規発生滞納額、2年連続で1兆円を割る
  国税の滞納残高が今年3月末時点で前年度より4.4%減り、7年連続して減少していることが国税庁のまとめで分かった。7年連続の減少は、国税庁が発足した1949年以来、初めてのことである。
  2005年度に発生した法人税や所得税など国税の滞納残高は1兆7,844億円。そのうち新規発生滞納額は前年度から3.4%増えて9,298億円となったものの、同年度中に処理した整理額が同4.0%減ながら1兆128億円と新規発生額を上回ったため、結果として滞納残高は減少となった。これは、ピークの1998年度(2兆8,149億円)の約6割という水準である。
  新規滞納発生額は昨年度18年ぶりに1兆円を切ったが、今年度も2年連続で大台を割っている。
●  消費税の滞納残高が最多に
  免税点の引き下げによって2005年分の申告から新規課税事業者が大幅に増えた消費税は、新規滞納発生額が前年度比3.6%増の4,222億円に上った。ただし整理額が4,232億円(前年度比5.7%減)と、新規滞納発生額を上回ったため、滞納残高は4,875億円(同0.2%減)とかろうじて前年度より低くなった。2000年度以降、6年連続の減少である。
  これまで滞納残高が最も多かったのは申告所得税だが、今年度は前年度比5.9%減の4,771億円にとどまった。そのため税目別の滞納額では、消費税が初めて最多となった。
  今年の確定申告では初めて消費税の新規課税事業者になった人が多かったため滞納の増加が懸念されていた。しかし、当初想定されたほどの増加はみられず、国税当局による事前の広報が効を奏した結果となった。
●  土日の電話催告で大きな効果
  滞納整理で効果が高いものの一つに、「納税コールセンター」による督促がある。少額滞納(基本的に100万円未満)事案を中心に、電話による納付催告を行うものだ。
  今年6月までの1年間に全国12国税局(事務所)の納税コールセンターが実施した電話催告は約55万件に上り、その7割弱にあたる約37万件から全額納付や納付誓約を得ている。
  5月から6月にかけては、土曜日・日曜日の電話催告も行った。平日に何回か電話をかけてもつながらない滞納者に対して実施されたもので、結果も公表されている。
  それによると、電話催告は土曜日8回、日曜日16回の延べ24回行われ、かけた電話総件数約8,000件のうち、約2,700件の応答があったという。
  応答率をみると、平日に不応答が2回続いた滞納者に対し3回目の電話を「土曜日」にかけた場合は34.0%、「日曜日」の場合は41.2%で、ともに「平日」の応答率23.0%を大きく上回った。平日の不応答が3回続いた滞納者に対して4回目の電話をかけた場合の応答率は「土曜日」が26.4%、「日曜日」が28.6%で、このケースでも「平日」の応答率14.7%のほぼ2倍という効果が上がった。
  国税庁は、今回の集中電話催告で電話がつながらなかった約5,000件強の滞納者に対して、後日改めて平日の夜間などに電話催告を行う予定だ。しかし事案によっては、税務署の徴収部門が引き継ぎ滞納者と直接接触して対応する方針である。
2005年度の租税滞納状況には、2006年4月および5月に督促状を送った滞納のうち、その国税の所属年度(納税義務が成立した日の属する年度)が2005年度となるものも含まれている。
出所:国税庁「平成17年度租税滞納状況について」ほか
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2006.08.07
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