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就職と離職がほぼ同割合に  雇用動向調査
●  景気回復に伴い就職・離職とも増加
  景気の回復とともに、人材の確保を急ぐ企業が増加している。それを反映した平成17年の就職・転職・離職状況を厚生労働省が発表した。
  1年間で入職※1した労働者は748万人で、前年を75万人上回っている。一方で離職者は756万人と、これも前年を71万人上回っており、労働者の移動が活発化していることが分かる。平成15年までは離職者が転職者を上回る状況が続いてきたが、今はほぼ同数となってきた。
  女性のほうが男性よりも労働力の移動が活発だ。男性は入職者が356万人、離職者が367万人なのに対し、女性は入職者が392万人、離職者が388万人である。これは、雇用状況の変動が比較的大きいパートタイム労働に女性が多く就業している影響と思われる。ちなみにパートタイムでの入職者は301万人、離職者は294万人と、ほぼ同数である。
●  大企業ほど積極採用
  企業規模による入職・離職の格差はほとんどみられない※2。ただし100人以上の規模ではすべて入職が離職者を上回っており、企業規模が大きいほど採用が活発といえる。
  転職による入職者は472万人で、うちパートタイム労働者は164万人を占めている。転職者のうち男性は242万人、女性は231万人だった。
  年齢は若いほど転職率が高い。20〜24歳が19.0%と最も高く、25〜29歳が16.8%、30〜34歳が12.2%、35歳〜39歳が10.1%と続く※3。なお「一般労働者から一般労働者へ移動」した割合は56.6%、「パートタイム労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は22.5%となった。
●  若い労働者、多くは個人的理由で離職
  離職者の理由では「個人的理由」が74.0%と最も多く、次いで「契約期間の満了」11.4%、「経営上の都合」6.9%、「定年」4.5%である。
  男性は「個人的理由」「契約期間の満了」に次いで「経営上の都合」が9.2%を占め、「定年」の6.6%を上回っている。女性の離職理由も同じ順で並んでいる。ただし「個人的理由」の内訳をみると、「結婚」「出産・育児」「介護」の割合は男性がそれぞれ1%未満なのに対し、女性は1.8〜4.2%と目立っている。
  年齢階級別では若年層ほど「個人的理由」が多く、50代になると「経営上の都合」が台頭してくる。60代前半では「定年」「契約期間の満了」が6割以上を占め、65歳を過ぎると「契約期間の満了」の割合がほかに比べて高くなる※4。若い世代では自発的に職を変える動きがみられるが、歳を重ねると会社の都合が大きく影響してくるようだ。
※1 未就業者の就職と既就業者の転職を合計したもの。
※2 従業員数5〜29人規模・・・入職者179万人・離職者187万人、同30〜99人規模・・・入職者154万人・離職者166万人、同100〜299人規模・・・入職者129万人・離職者123万人、同300〜999人規模・・・入職者103万人・離職者102万人、同1,000人以上規模・・・入職者143万人、離職者142万人。
※3 以下、40歳〜44歳が9.4%、45歳〜49歳が6.9%、50歳〜54歳が6.7%。
※4 35歳未満は「個人的理由」が8割超。50〜54歳と55〜59歳は「経営上の都合」がそれぞれ15.9%、14.8%、60〜64歳は「定年」43.6%「契約期間の満了」20.6%、65歳以上は「契約期間の満了」27.8%。
出所:厚生労働省「平成17年雇用動向調査結果の概況」
(可児 俊信、ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.08.21
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