> 今週のトピックス > No.1292 |
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申告漏れ増加ふまえ、税務調査の方針を明らかに 国税庁 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() ● 1件当たりの申告漏れ金額、増加傾向
国税庁は8月16日、納税に関する取り組みを解説した「国税庁レポート2006」を発表した。そのうち、今回は「適正・公平な税務行政の推進」という項目に注目したい。
まず税務調査状況をみてみよう。平成16年度の申告漏れ額は、申告所得税で1件当たり899万円、申告法人税で同1,202万円に上る。平成11年度がそれぞれ627万円、901万円だったのと比較すると、1件当たりの申告漏れ金額は個人事業・法人事業ともに増加傾向にあるといえる。 こうした状況に対し、国税庁は厳しい姿勢で臨むことを明言している(※)。 ![]() 【申告所得税の調査状況(平成16事務年度)】
・ 特別・一般…高額・悪質なものを対象に行う深度ある調査
・ 着眼…申告漏れ所得などの把握を短時間で行う調査 ・ 簡易な接触…電話または納税者の来署を求めて申告の是正を行うこと ![]() 【法人税の実地調査状況 (平成16事務年度)】
![]() ● 調査の実態を公開
報告書によれば、原則として税務調査前に事前通知は行うものの、ありのままの事業実態等の確認を行う必要がある場合には事前通知を行っていないとある。後者について、具体的には現金商売をしている事業所などを想定しているのであろう。そうはいっても事前調査をしている割合は圧倒的に大きく、所得税の調査で約8割、法人税の調査では約9割に及ぶ。
税務調査の進め方も公開している。原則として納税者本人の立会いのもとに行い、納税者の選択によっては税理士も立ち合わせることができるとしている。調査開始時には、写真入りの身分証明書などを提示して、税務職員の身分などを明らかにしていると述べている。これは昨今、税務職員をかたった詐欺事件などを意識したコメントと思われる。 調査終了後の対応についても詳しく紹介されている。納税者が修正申告などをした場合、その後異議申し立てや審査請求ができなくなるが、調査員はそのことを「修正申告等について」という書面を用いて説明しなければならない。税務調査の結果、誤りなどが認められなかった場合には、調査の終了を明確に伝えることとしている。 こうした方針に基づき、今後も適正な税務調査が円滑に行われることにより、課税の公平性が保たれることを期待したい。 ![]()
※
報告書では次のように述べられている。「できるだけ調査件数を確保していくことが適正・公平な課税のために不可欠であると考えられます。申告が適正でないと認められる納税者を的確に選定し、調査することにより、悪質な納税者等に絶えず監視の目を光らせることは、善良な納税者の納税意欲を高め、広い意味で納税者に対するサービスにつながるものと考えています」
![]() (今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
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2006.08.28 |
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