>  今週のトピックス >  No.1297
大卒初任給、8年連続でほぼ横ばい
●  大卒事務系で20万3,960円
  大卒事務系の初任給の水準は20万3,960円で、前年より0.36%上昇したものの、8年連続でほぼ横ばいであることが経団連の調査で分かった。高卒事務系は0.34%上昇して15万9,222円である。
  そのほか大学院卒事務系22万2,050円、高専卒技術系17万9,378円、短大卒事務系16万9,665円、高校卒現業系16万390円となっている。
●  提示した初任給をその後引き上げる企業も
  初任給の対前年上昇率は、若干上向いてはいるものの、ほぼ同水準で推移している。大学卒事務系で0.36%、高校卒事務系で0.34%のほか、大学院卒事務系0.46%、高専卒技術系0.37%、短大卒事務系0.23%、高校卒現業系0.35%だ。
  上昇率が抑えられているのは、初任給を据え置いた企業の割合が高水準にあるためと考えられる。「求人賃金として前年の初任給を示し、そのまま据え置いた(凍結)」企業は全体の6割強(68.9%)で、1999年から連続して半数を上回っている。前年の86.0%と比べるとだいぶ下がってはいるが、据え置きの企業は依然として多い。
  一方、「求人賃金として前年の初任給を示したが、その後引き上げた」企業が27.9%(前年12.3%)ある。前年の12.3%に比べると大幅な増加だ。景気回復の影響および労働者の売り手市場に対応して、初任給の引き上げを行ったと考えられる。
●  平成19年3月高卒求人 出足好調
  東京ハローワークニュースによれば、平成19年度3月高卒の求人は前年度同時期と比較して求人事業所数で44.0%増、求人件数で57.5%増、求人数で35.9%増である(平成18年6月末現在)。景気回復の影響だけでなく、技能継承の観点から技術職の求人を再開したことも背景にあるだろう。
  初任給は労働者にとって大事な労働条件だ。各企業も頭を悩ませるところである。そうはいっても、中小企業において新入社員の給料だけ高くすることは、現在在籍している社員との兼ね合いもあり、簡単にはいかない。今後数年は採用に苦労することが予測されるが、企業の魅力を高めるためには、労働環境や賃金や福利厚生などで差別化を図っていくことも必要になってくる。若い人材を採用することができなければ、団塊世代の退職に伴って労働力が急激に不足し、企業を存続させていくことができなくなることもあるからだ。
  各企業の採用意欲が高まっていく中で、若年者を引き付けるためには、まずは初任給のアップが最低限の条件になるかもしれない。
日本経団連「2006年3月卒『新規学卒者決定初任給調査結果』の概要」。新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の初任給対策の参考とするために1952年より毎年行なわれ、今回は667社が回答。このような統計はほかに例がみられないため各企業の担当者の注目を集め、翌年の初任給設定などに活用されている。
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2006.09.04
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