>  今週のトピックス >  No.1311
企業内互助会、実態によって保険業法の扱いが変わる
●  企業内互助会も原則として保険業者
  無認可共済を排除する目的で、2006年4月から保険業法が改正施行された。改正前の保険業法は、不特定の者を相手方として保険を引き受ける保険業者だけを規制の対象としていた。無認可共済はそこに当てはまらない。よって保険や共済は実質、三つに分けられていた。(1)「保険業の対象となる保険業者」、(2)「JAや全労済などの保険業以外の規制・監督官庁による保険類似の制度共済」、(3)「いずれの根拠法も持たない無認可共済」という区分である。
  (3)の「無認可共済」は本来、不特定の者を相手方として保険業類似の共済を行う業者を想定していたのだが、今回の改正によって、従来から存在していた「企業内にある互助会や共済会」も含まれることになった。こうした互助会・共済会は、そこで働く従業員・職員を共済加入者として慶弔の給付を行っている。死亡給付金、入院見舞金などの給付は保険業類似行為といえなくもないが、不特定ではなく特定の者を相手方としている点が、いわゆる無認可共済とは大きく異なる。
  改正後はこれらの企業内互助会や共済会について、たとえ特定の者を相手方とする保険業類似行為であっても、原則としては保険業法の対象とすることになった。
  しかし適用除外規定が設けられ、上述の(3)に相当する無認可共済は、このたび新しく定義された「少額短期保険業者」か「保険業者」、または「適用除外団体」のいずれかに区分されることになった。
●  「適用除外団体」以外は当局に届け出を
  この適用除外団体については、保険業法第2条第1項に規定されている。
一.他の法律に特別の規定のあるもの
二.次に掲げるもの
 イ.地方公共団体がその住民を相手方として行うもの
 ロ.一の会社等又はその役員若しくは使用人(役員又は使用人であった者を含む)が構成する団体がその役員若しくは使用人又はこれらの者の親族を相手方として行うもの
 ハ.一の労働組合がその組合員(組合員であった者を含む。)又はその親族を相手方として行うもの
 ニ.会社が同一の会社の集団(一の会社及び当該会社の子会社の集団をいう。)に属する他の会社を相手方として行うもの
 ホ.一の学校又はその学生が構成する団体がその学生又は生徒を相手方として行うもの
 ヘ.一の地縁による団体がその構成員を相手方として行うもの
 ト.イからヘまでに掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
三.政令で定める人数以下の者を相手方とするもの
  これによって、企業内や自治体職員の大部分の互助会・共済会は適用除外とされることになった。ただし資本関係のない会社同士やフランチャイズチェーンなどを対象とする慶弔給付は、適用除外とならない。
  従って適用除外とならない互助会・共済会については特定保険業者として、本年9月までに届け出が必要となった。各財務局が個別に判断し、給付金額の妥当性などによっては保険業とみなされない場合もあるとされるため、注意が必要である。
(可児 俊信、ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.10.02
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