>  今週のトピックス >  No.1313
団塊サラリーマンの約8割、60歳以降も働く意向
●  47%はフルタイム勤務希望
  電通は9月13日、2007年に60歳を迎える全国のサラリーマン夫婦を対象に、今後の生活イメージや生活意識、消費行動などをたずねた調査結果を発表した。団塊世代の退職がもたらす影響は各方面から注目されており、退職金の行方についても多くの企業がマーケティングに力を入れている。退職後の生活のイメージがつかめるこの調査結果は大いに参考にしたいところだ。
  今年の4月から改正高齢者雇用安定法が施行され、段階的に雇用延長が義務づけられた。希望すれば60歳以降も原則としてそのまま会社に残ることが可能になったため、団塊世代のその後の生活はこれまでと大幅に変わると予測される。
  調査結果によると仕事や暮らし方については、夫の約8割(77%)が来年以降も引き続き組織で働くことを選択している。この高い数字は改正高齢者雇用安定法の影響によるものと言ってほぼ間違いない。ただ、60歳の定年退職後に再雇用契約を結ぶことで、勤務時間や勤務日数が短くなる人も多い。実際、就労予定の人のうち、フルタイムは47%、パート・アルバイトが合わせて40%となっている。
  自由な時間を楽しみながら、有意義な生活を過ごすゆとりを得るために働くといった傾向にあるといえよう。
●  退職金の使い道は「夫婦で相談」、男性の一人旅志向は急増
  退職金の使い道に関しては「夫婦で相談して決定」が60%と、前回調査結果を大きく上回り「何事も夫婦で」という姿勢が広がった。退職金の使い道は、「老後資金」が46%、「ローン返済」が15%、「株式等資産運用」が13%、「住宅に関わる費用」が8%となっている。
  定年をきっかけにしたいことや買いたいものというテーマでは、旅行を挙げる人が定番どおり多いが、男性の一人旅志向が昨年に比べ急増しているのは注目すべき点といえよう。団塊世代向けの豪華世界一周旅行や、顧客のわがままをかなえる旅行など、ぜいたくなプランを売りにする旅行会社を見かけることも多くなった。旅行会社はますます広告に力を入れていくことが予測され、この市場における競争の激化は間違いないであろう。
  また「国内移住」、「住み替え」、「リフォーム」など家関連行動へのニーズが高まっており、30%が希望している。買いたいものがある人の中では、薄型大画面テレビ、車などが目立っている。
●  定年後の暮らしに対して男女の意識差は大きい
  定年前の準備としては、健康づくり(46%)、夫の家事参加(26%)、株やファンドの購入による資産運用(26%)などが目立っており、特に「夫の家事参加」と「リフォーム」が急増した。一方「パソコン学習」は昨年調査から大幅にダウンしており、団塊世代はパソコンを難なく使えることを示している。だれかに頼るよりも、情報機器を使いこなして自分で問題解決することが好きだと感じているようである。
  60歳〜65歳の暮らしに対して、男女とも47%は「楽しみと不安が半々くらい。」と答えているが、「楽しみ」率から「不安」率を差し引いた数値は、男性が+13%、女性は−19%と大きな開きがある。女性は男性より多くの不安を抱えていることが読み取れる。
  男女間で差があった項目として下記が挙げられている。
■自由時間(増える)     : 男性84%、女性30%
■夫婦会話量(増える)    : 男性63%、女性49%
■妻の家事時間(増える)   : 男性12%、女性30%
■一人行動・一人時間(増える): 男性45%、女性12%
  定年前の準備として「夫の家事参加」という回答が目立っていたにもかかわらず、「妻の家事時間が増える」と答えている女性が30%。ここから判断しても、男女の考え方にはかなりギャップがあるようだ。団塊世代のサラリーマンはこの調査結果が表す意味をよく理解し、夫婦で楽しいシニアライフを築いてほしい。
出所:電通「退職後のリアル・ライフU」
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2006.10.02
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