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民間給与額、全体的に低迷続く
●  民間サラリーマンの給与は減少傾向
  国税庁から平成17年における民間の給与の現状が報告された。景気の回復が反映されて雇用は回復しているものの、全体として給与水準はいまだ低い水準にあるようだ。
  給与所得者数は、5,304万人で、前年から0.6%増加しており、雇用の回復が裏付けられている。1,000人以上の事業所で働く給与所得は1,142万人、100〜999人が1,530万人、99人以下が2,632万人となっている。
  支給された給与の総額は、全5,304万人に対して201兆5,802億円。前年の201兆7,742億円と比べると1,940億円の減少だ。給与所得者数が増加している一方で、給与総額は少なくなっているのである。
  当然、一人当たりの給与額も減少している。平成16年の383万円に対して17年は380万円と、3万円減った。この給与額は平成10年をピークに年々右肩下がりを続けている。平成17年の額は、平成10年の424万円と比較すると1割以上も減ってしまった。
【図表1 一人当たり給与所得額の推移】
●  高額給与者も減少
  給与所得者5,304万人のうち年間を通じて勤務した者は4,494万人で、前年比0.9%増である。一人当たりの給与は437万円で、前年比2万円の減少であった。
  平均給与の内訳を月例(給料+手当)と賞与に分けてみると、賞与の占める割合は18.2%であり、月数換算で2.19月。これは前年の2.23月を下回っただけでなく、平成10年の2.81月に比べて0.63月も少ない数字だ。理由としては年俸制の浸透などのほか、賞与月数を削減することで給与額の減少が進められているという実態が考えられるだろう。
  所得格差が広がっているといわれているが、給与額別の人数分布を7年前と比較したものが下のグラフである。
  これによると、給与額100万円超〜200万円の人数が大きく増えている。一方、給与額300万円超ではどの給与額においても平成10年より人数が減少している。これは所得格差というより、むしろ給与所得者が全体に貧しくなっていることを示している。
【図表2 給与額別人数】
「1年を通じて勤務した給与所得者」と「1年未満勤続者」の両方を合計したもの
出所:国税庁「民間給与実態統計調査」(平成17年他)
(可児 俊信、ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.10.10
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