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「確定拠出年金」の最新状況
●  「確定拠出年金」の加入者200万人へ
  2001年10月に施行され、5年目を迎える確定拠出年金についての最新の調査結果が発表された。
  厚生労働省の調査では、2006年8月末時点で規約数は1993件、実施している事業主数は7298社にのぼる。2005年、2006年で普及が進み、加入している従業員数は、2006年7月末時点で199万人と200万人にせまっている。
  企業年金連合会は全件調査ではないが、制度内容の詳細に踏み込んだ報告をしている。それによると、1規約あたりの従業員数は平均で1300名である。調査対象規約のうち1000名以上の規約は28%に過ぎないことから、一部の大型規約が全体の平均値を引き上げていることがわかる。
  確定拠出年金は施行1、2年目の導入企業は少なかったが、3年目の2003年10月から導入が急増している。5年目の導入企業が全体の28%に達している。
  確定拠出年金は複数の企業が1つの規約で実施できるのが特徴のひとつである。その内訳を見ると1企業が1規約で設立しているのが全規約の66%、企業グループ全体で1つの規約としているのが29%、複数の企業が1つの規約としている「総合型」が5%となっている。
●  任意加入制は全体の3分の1
  従業員の確定拠出年金への加入に際し、任意選択としている企業が32.9%と全体の3分の1にのぼる。ちなみに任意加入の場合の従業員の加入率は76%となっており、4人に1人が加入を選択していないことになる。
  掛け金の設定方法は定率方式が43.1%、職種・資格・等級等で段階的な設定方法は39.8%と、80%以上を占めている。また定額方式は14.6%、定額と定率の組み合わせ方式は2.5%に過ぎない。
  定率方式では、加入者によっては算定された掛け金額が法定金額を超過することもあり得る。その際の対応として、超過分を現金で給与に加算する企業が61.7%、他の企業年金制度の給付額に反映するのが28.0%、その他が10.3%となっている。今後、法定の掛け金限度額の上限を引き上げることも必要ではないだろうか。
●  「投資教育」を怠る実態が浮上
  加入者が選択できる運用商品は、法定で最低3本以上となっているが、平均して14.7本の運用商品が提示されている。14.7本の内訳はバランス型が4.12本、元本確保型が3.51本、日本株投信が3.18本、外国株投信が1.72本などとなっている。
こうした資産運用に関する投資教育が確定拠出年金法で義務付けられているが、継続教育は任意である。そのため継続教育を行っている企業は全体の33.5%と3分の1に過ぎず、残りの3分の2は実施していない。ほとんどの加入者は、制度加入時に投資教育を受けたきりという実態が浮きぼりになっている。
今後は投資教育の重要性がクローズアップされることになるであろう。
出所:企業年金連合会「確定拠出年金に関する実態調査」(2006年10月6日)
(可児 俊信、ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.10.23
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