>  今週のトピックス >  No.1327
民間企業の労働費用の現状
●  労働費用は増加傾向
  厚生労働省では4年ぶりに労働条件に関する調査が行われた。景気の回復を反映して労働条件はいくらか回復している。調査結果のうち、労働費用に関する部分を報告する。
  労働者一人あたりの月間の労働費用は、462,329円であり、前回(平成14年)調査の449,699円を上回った。労働費用とは、給与だけでなく、現金給与以外の労働費用も含んでいる。法定福利費(社会保険料の会社負担分等)、法定外福利費(会社が任意で行う福利厚生の費用)、退職給付費用(退職一時金、企業年金の費用)等まで含んでおり、広義の人件費といえる。462,329円の内訳は現金給与が374,591円、現金給与以外が87,738円である。
  労働費用は、企業規模によって異なる。1,000人以上の企業では544,071円と、全体平均より4万円以上高い。逆に100人未満の企業では、375,777円と平均より9万円近く低い。図は企業規模別に労働費用の額を比較したものである。企業規模が大きいほど労働費用は高くなるが、それだけではなく、現金給与以外の労働費用の格差も、現金給与以上に広がっていることが分かる。
  1,000人以上規模企業は100人未満企業と比べた場合、現金給与では4割ほど多いが、現金給与以外の金額は倍近い金額の差が見られる。全体平均では労働費用全体のうち、現金給与は81.0%だが、1,000人以上では78.6%、逆に100人未満では84.2%である。つまり福利厚生や退職金がよいということである。
●  法定福利費は大幅増
  現金以外の労働費用87,738円の内訳は、法定福利費が46,456円と過半を占め、法定外福利費9,555円、退職給付費用27,517円等となっている。法定福利費は前回調査では41,937円であり、1割以上伸びている。2003年からの社会保険料の総報酬制によって保険料負担が重くなっているためである。法定外福利費は、前回調査の10,312円から9,555円へと減少している。
  平成10年の前々回調査では13,481円であり、連続して減少している。法定福利費などの増加によって皺寄せされているのだろうか。
  退職給付費用も前回の27,300円から25,862円へ減少している、これはリストラによる割増退職金などの支払いが一段落したということである。
【企業規模別の労働費用】
出所:厚生労働省「平成18年就労条件総合調査結果の概要」
(可児 俊信、ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.10.30
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