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国税庁、所得税及び消費税の調査状況公表
●  国税庁が所得税及び消費税の調査状況を公表
  国税庁は先日、平成17年7月から平成18年6月までに行った所得税及び消費税の調査状況を公表した。
  それによると、所得税の調査総件数は80万6,769件で、そのうち約70%の56万6,999件が申告漏れを指摘されている。申告漏れ所得金額は合計8,957億円で追徴税額は1,144億円となっている。
  一方、消費税の調査総件数は7万2,369件で、そのうち申告漏れの指摘を受けたのが約68%にあたる4万9,000件となっており、追徴税額は220億円である。
●  近年の調査傾向
  最近国税庁では、急速に増加している海外取引やインターネット取引に対応するため、これらの取引を重点項目に指定して調査に当たっているようだ。法人税についても、大手上場企業が海外取引について巨額の申告漏れを指摘されているケースが目立つ。その流れは所得税とて例外ではないようだ。
  また、ネット通販やアフィリエイトなど、インターネットを通じて個人が収入を上げる機会が増えている。インターネット取引に関する調査件数も前年と比較し、約4割増えている。今後もこの傾向は続くだろう。
●  税務署はどうやって申告漏れに気づくのか
  個人に収入がある場合、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の場合などを除いて、原則的には確定申告をする必要がある。アフィリエイトなどの収入についても同様である。「申告しなくてもバレないだろう」などと思っていると後で痛い目に会うことになる。
  では、税務署は確定申告をしていない者の所得をどうやって把握しているのだろうか。それには様々な手段がある。
  例えば不動産を譲渡した場合に、税務署から「譲渡所得のお尋ね」という書類が送られてきて、慌てふためいている納税者の方がいらっしゃる。不動産を売ったことなど税務署に知らせた覚えはない、というのである。これは税務署が「不動産等の譲受対価の支払調書」や法務局の登記状況などで確認しているためである。このように個人や法人から提出された支払調書やその他官公庁からの情報等は、税務署にとって貴重な情報源である。
  また、税務署が法人や個人を調査したときにも、調査官は様々なデータを収集している。たとえ直接自分が税務調査を受けていなくても、自分の取引先に税務調査があり、いろいろな情報が収集されていることがあるのだ。例えば、アフィリエイトの場合には、そのサービスを提供するアフィリエイトサービスプロバイダーに税務調査に行けば、自分が申告していなくてもそこである程度の収入を把握されることはありうるだろう。
●  実際にある匿名投書などの密告
  また意外に侮れないのがタレコミや匿名投書などの密告だ。当然、密告の件数が表向きに公表されることはないが、実際に密告に基づいて調査が行われることも多く、税務署も重視しているといわれる。
  密告するのは競争相手の同業者、リストラされた従業員、社長の元愛人などなど。もちろん中には根も葉もないガセネタもあるだろうが、意外に精度の高い情報も含まれるようだ。
  このように、税金は「申告していなくてもバレないだろう」というような甘いものではない。一時的に「得した」と思っていても、後から無申告が発覚すれば、「無申告加算税」「延滞税」といったペナルティも課される。結局は高くつくことになるのだ。正直に申告することが一番の節税である。
(村田 直 マネーコンシェルジュ・今村仁税理士事務所)
2006.11.06
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