>  今週のトピックス >  No.1334
大型上場の当たり年―日本経済と株式市場の復活を象徴
●  あおぞら銀行、8年ぶり再上場
  今年は大型上場の当たり年となった。11月14日にあおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)が8年ぶりに東京証券取引所に再上場するほか、10月には知名度の高い野村不動産ホールディングスと出光興産が相次いで上場した。すでにビックカメラやアルペンも上場している。なぜこんなに大型上場が重なったのだろうか。
●  金融再生、最終局面に
  あおぞら銀行が市場から調達する資金は約4000億円となり、約1600億円を調達した野村不動産を超え今年最大の新規上場となる。時価総額は1兆円を超える見通しで、1998年に上場したNTTドコモ以来、最大規模の上場だ。
  あおぞら銀行の前身、日本債券信用銀行は1957年、長期信用銀行法に基づき「日本不動産銀行」として設立した。金融危機が起きた98年に実質破たんし、国が一時国有化、2000年に国が、保有する株式の一部をソフトバンク、オリックスなどに売却し、その後ソフトバンクから株を買い取った米投資ファンド、サーベラスの主導で経営再建した。06年3月期は日債銀時を含めて過去最高益を更新したほどだ。
  日債銀と同じ時期に経営破綻した日本長期信用銀行(現新生銀行)は、米投資ファンドのリップルウッド主導で経営を立て直し、04年に再上場を果たした。米ローンスター傘下の東京スター銀行(旧東京相和銀行)も05年に上場。あおぞら銀行の再上場は、破綻金融機関の再生が最終局面を迎えたことを意味する。
  サントリーや竹中工務店と並んで「非上場御三家」と言われてきた出光興産の上場も、日本経済の復活を象徴している。収益力では定評のある同社も、バブル期の過大投資が響いて、有利子負債が一時2兆円を超え、98年ごろに一度経営不安説が流れている。上場を旗印に2000年ごろから財務、事業両面のリストラに取り組み公約どおり上場を果たしたわけだ。
●  株式市場の復活も後押し
  大型上場の背景には株式市場の復活もある。市場から多くの資金を吸い上げる大型上場が成功するには、株式市場にも資金余力が必要だ。「貯蓄から投資」の流れで個人投資家が急増しているうえ、日本企業の好業績を期待して買いを入れている外国人投資家の投資活動も活発だ。日経平均株価が1万7000円に迫るなど株価の上昇傾向は続いており、新規に上場する有望な企業に投資したい投資家は大勢いる。実際、野村不動産ホールディングスや出光興産の株価は堅調だ。上場ラッシュは来年も続くかもしれない。
2006.11.06
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