>  今週のトピックス >  No.1336
資本金1,000万円未満の会社を作れば2年間消費税免税
●  消費税増税論議は来年秋以降
  安倍首相が衆院本会議で、消費税率の引き上げ問題については「歳出削減、決算、社会保障給付の実績などを見る必要があり、税制改革の本格的、具体的な議論を行うのは来年秋以降になる」との考えを表明した。このこともあってか、消費税の増税論議に一服感もあるが、国の財政状態をかんがみるとそうゆっくりもしていられない。
  消費税率アップが実現されれば、国民負担増はもちろんだが、簡単に税率アップ分を価格に転嫁しにくい中小企業経営にも大きな影響を与えることになるだろう。
●  資本金1,000万円未満の会社で2年間は消費税免税
  そこで、今回は消費税の節税対策をとりあげたい。
  消費税というのは、理論的には、会社がお客さんにモノやサービスを売り上げたときに売上金と同時に一時的に「(会社が)預かっているお金」ということになる。消費税は預かり金なのだから、そのまま国に納めるというのが原則なのである。しかし実際には、消費税分をお客さんからなかなか徴収できない中小企業があるのも現実だ。特に小規模な会社や創業したての会社は、消費税を把握するための事務処理も含めてなかなか大変だ。そこで、原則的な消費税の考え方とは別に特例が設けられているのだ。
  まず原則的に消費税の納税義務は、2年前の売上高が1,000万円を超えているかどうかで決まる。もちろん1,000万円を超えていれば納税義務があるということだ。そうすると、会社を創業したばかりのときや事業を始めたばかりのときには(2年前の売上高がないため)消費税を納めなくていいというということになる。そこで、消費税法では益税防止策として、「資本金が1,000万円以上の会社では設立後2年間は納税義務が自動的に発生する」とした。
  ということは、「資本金1,000万円未満の会社にすれば、設立後約2年間は消費税を納めなくていい」ということになるのである。さらにその免税メリットを最大限享受するためには、設立後最初の事業年度を出来るだけ長くとることである。
  個人事業で2年間事業を行い、その後資本金1,000万円未満の会社をつくって(法人成り)2年間事業を行うと、結果合計4年間消費税免税となるのである。
●  こんな実例も
  以前知り合いの経営者の方(甲さん)が、個人事業としてハンバーガーのフランチャイズ店を始めた。すると、売上が上がってきたので個人事業開始2年後に資本金300万円で有限会社を立ち上げられた。
  ところが、法人を立ち上げてすぐにそのハンバーガーのフランチャイジーで食中毒が発生し、その影響で売上が激減したのである。仕方なく法人を立ち上げて2年後また個人事業に戻すことにした。いわゆる「法人からの個人成り」である。結局、3カ月後廃業とすることになった。
  この甲さんは特に意識していたわけでは無かったのだが、結果的に消費税を一度も納める機会がなかった。ちなみに、税法上は原則個人と法人は別ものと考えるので、納税義務を判定するときの2年前の売上高は別計算となる。当然この甲さんのようなことを意図的に行った場合には、税務署から厳重なご指摘(罰則も含めて)があるのでご注意頂きたい。あくまで甲さんの実例は、たまたまそうなっただけなのである。
(税理士 今村 仁 マネーコンシェルジュ・今村仁税理士事務所)
2006.11.13
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