>  今週のトピックス >  No.1337
1人あたりの採用経費は平均約38万円
●  採用経費の増加
  株式会社産労総合研究所の調査によると、企業の新規学卒者の採用活動における1人あたりの採用経費は、平均38万5,111円かかっていることが分かった。これは、同社が行なった「新規学卒者(2007年3月予定)の採用活動に関する実態調査」によるものである。
  なお、今回の調査には、入社案内作成、企業セミナー(会社説明会)、インターネット関連、内定者フォロー他、全9項目の総経費を採用者数で割った額で算出しており、採用担当スタッフの人件費等は含まれていない。
  ここのところ、景気回復を背景にして企業の採用意欲が高まっている。今回の調査でも昨年と比較して採用人数が増加したと回答した企業は45.9%と、約5割の企業で採用人数が増加している。採用人数が増加することに伴って、採用経費も増加する。採用経費をどう抑えるかが企業にとって取り組むべき課題だろう。
●  採用経費の削減に向けて
  企業規模別の採用経費を見てみると大企業39万7,851円、中企業36万7,997円、小企業39万7,707円となっており、規模の格差はほとんどない。このことは、逆に、採用人数が多く、スケールメリットを受けられる大企業に比べて、中小企業が不利な立場にあることを表していると言えるであろう。
  採用経費のうち、もっとも高額な費用は「インターネット関連」の42.4%であり、「DM、情報誌掲載」12.8%、「面接(会場費等)」10.9%と合計すると、この3項目で約7割を占めていることが分かった。インターネット関連の費用としては、就職情報会社のサイトや自社で採用ホームページを開設が挙げられる。実際、今回の調査でも約8割の企業が就職情報会社のサイトや自社の採用ホームページを利用している。
  採用経費の削減には、利用する就職情報会社や採用ホームページの製作会社の見直しなどを行ない、「インターネット関連」の費用をいかに圧縮するかがポイントであろう。
  また、内定辞退者を出さないようにすることも重要である。内定辞退者が出れば新たに採用しなければならなくなるからだ。内定辞退者を出さない為には内定者フォローが必要である。今回の調査結果でも「内定者フォローを実施する」と答えた企業は96.9%で、ほとんどの企業が内定者フォローを実施している。内定者フォローによって、内定者同士の連帯感と会社への帰属意識を高めることが大切なのである。その内容は、「懇談会・食事会の開催」が83.8%と最も多く、その他、「社内報・企業情報の送付」70.4%、「通信教育・eラーニング」49.0%などとなっている。
●  採用担当者の腕の見せどころ
  内定者フォローは、内定辞退者が出ないようにするためにも重要である。内定辞退者を1人でも少なくすることができれば、結果的に1人あたりの採用経費の削減にもつながる。
  人材枯渇時代においては、いかに優秀な人材を採用し、自社に入社させるかが今後の採用活動における重要なポイントとなる。特に、中小企業においては、採用活動の結果が企業の成長に大きく影響することにもなりかねない。そのため、今まで以上に採用担当者の力量が問われることになるだろう。
  企業の採用担当者は、採用経費削減と優秀な人材の確保に向けて、従来の採用活動内容に満足することなく、取り組んでいってもらいたいところである。
出所:株式会社 株式会社産労総合研究所 「新規学卒者の採用活動に関する実態調査」
http://www.e-sanro.net/sri/ilibrary/pressrelease/press_files/srip_061023.pdf
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2006.11.13
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