>  今週のトピックス >  No.1339
コース別雇用管理の現状
●  転勤の有無はコース区分と関連あり
  企業においては雇用均等法の施行やその改正法、さらには従業員の就労に対する意識の多様化を受け、コース別雇用管理制度の導入が進んでいる。厚生労働省は、毎年、コース別雇用管理を実施している企業に対して、その実態の聞き取り調査を行っており、17年度の調査結果が報告された。
  まず、企業に設けられているコースを形態別に見てみると、総合職は全社に設けられているが、一般職を設けている企業は87.3%(平成16年度調査92.8%、15年度調査88.6%)、専門職を設けている企業は15.3%(同20.0%、同23.7%)、現業職を設けている企業は24.8%(同18.3%、同22.5%)、中間職を設けている企業は15.3%(同9.4%、同19.5%)、準総合職を設けている企業は9.6%(同8.3%、同7.2%)であった。
  なお、転勤の有無をコース区分の要件としている企業は83.4%(16年88.3%)で、その大部分となっている。なお、19年4月の改正施行される雇用均等法では、転勤可能なことを総合職の要件とすることは間接差別であるとしている。
●  転換時に必要な3要件
  コース転換制度を「導入している」企業は78.3%であり、16年の82.2%から減少している。そのうち、総合職と一般職の間のコース転換制度を見てみると「総合職、一般職の双方への転換制度がある」企業は64.0%(平成16年67.2、15年54.4%)、「一般職から総合職への転換のみ」企業は26.3%(16年22.6%、15年28.7%)、「総合職、一般職間の転換制度がない」企業は、7.0%(16年5.1%、15年14.6%)となっている。前年度と比較すると、転換制度は、双方への転換制度から一方的な方向へ流れつつある。
  一般職から総合職への転換制度において、転換時に必要な要件がある企業は92.2%(16年87.8%)で、このうち「上司の推薦」が要件である企業が69.5%(16年75.9%、15年75.6%)、「客観的条件」が必要なのは50.5%(16年64.8%)、「試験」が必要な企業は62.1%(16年67.6%、15年66.9%)となっている。
  これらの要件の組み合わせでは「客観的条件と上司の推薦と試験」を組み合わせた企業が25.3%(16年34.3%、15年37.8%)と最も多く、「上司の推薦と試験」の企業が20.0%(16年19.4%)、「客観的条件と上司の推薦」が8.4%(同13.9%)、「客観的条件と試験」がいずれも25.3%(同11.1%)となっている。
  この調査は、コース別管理を実施している企業のみを対象としたものである。このうちコース転換実績がある企業は76.0%であり、制度のみで実績のない企業も多い。今後は、コース別雇用管理の導入が、日本の企業全体でどの程度進んでいるのか、その調査結果が待たれる。
総合職基幹的業務または企画立案、対外折衝など総合的な判断を要する業務に従事し、転居を伴う転勤がある
準総合職総合職に準ずる業務に従事し、一定地域エリア内のみの転勤がある
中間職総合職に準ずる業務に従事するが、転居を伴う転勤がない
一般職主に定型的業務に従事し、転居を伴う転勤がない
専門職特殊な分野の業務において専門的業務に従事する
現業職技能分野の業務に従事する
出所:厚生労働省「平成17年度コース別雇用管理制度の実施・助言等状況
(可児 俊信、ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.11.20
前のページにもどる
ページトップへ