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平成18年年末調整の改正点と注意事項
●  平成18年年末調整の改正点
  11月も半ばとなり、今年も残すところあとわずかである。サラリーマンにとっては一足早いお年玉、年末恒例の…といえば、いわずと知れた"年末調整"である。今回は、今年の年末調整の改正点と注意事項をお伝えする。
  今年の年末調整から大きく変わる点として、最も影響の大きいものが定率減税の半減である。これまでは国民一律に、所得税が20%減(最大25万円)になっていたが、今年はその減額率が10%(最大12万5千円)になり、来年平成19年には定率減税は完全に廃止される。
  また、来年から損害保険料控除(最高1万5千円)が廃止され、新たに地震保険料控除(最高5万円)が新設される。そのため、現行の損害保険料控除は今年が最後になる。
  しかし、今年の12月31日までに契約した長期損害保険契約(保険期間が10年以上で、満期返戻金がある等の条件を満たすものに限る)については、経過措置として来年以降も控除が認められている(ただし、地震保険料控除と合わせて5万円まで)。
●  年末調整の対象者と対象となる給与の範囲
  実際に年末調整を行う際の注意点をいくつか挙げていこう。   まず、年末調整の対象者だが、これは12月分給与の支払時まで在籍した者が原則として対象になる。ただし、年間給与の合計が2,000万円を超える者は年末調整の対象とはならず、確定申告をすることになる。
  対象となる給与の範囲は、「今年に支払うべきことが確定した給与」となっているため、未払給与であっても年末調整の対象となる。逆に、未払給与は支給が確定した年の対象になっているため、実際に支払った年には対象とはならない。また、転職者については、前職分の給与も対象となる。
●  配偶者控除、扶養控除の注意点
  配偶者控除や扶養控除についても、いくつか押さえておくべき注意点がある。
  配偶者控除、扶養控除の対象となる配偶者や扶養親族の判定は、12月31日時点の現況により判断される。そのため、今年結婚された方や、新たに子供が生まれた方などは、それが年の途中であったとしても、月数按分などすることなく、控除額が満額使用できる。
  さらに、扶養親族は「生計を一にする」ことが条件とされている。しかし、この「生計を一にする」というのは必ずしも同居している場合だけではなく、生活費の送金などをしている場合にも認められる。従って、田舎の両親に仕送りをしているというような場合にも、自分の扶養親族にできないかどうか、再度確認したい。
  また、扶養控除は所得の多い方が受けるのが原則である。夫婦共働きの場合には、その子供はどちらの扶養控除としても良いのだが、所得税は超過累進税率であるため、所得の多い方が税率は高く、同じ扶養控除額でも節税額は有利になる。
●  その他の注意点
  最後にその他の注意点をいくつか挙げておこう。
  住宅ローン控除の適用を受けている方も多いと思うが、これは最初に適用する年だけは確定申告しないといけない。以前に一度でも適用を受けた方は、今年も年末調整の対象になるので、忘れずに会社の総務経理に書類を提出するようにしたい。
  また、年間医療費が一定額を超えたときに適用される「医療費控除」は、年末調整の対象ではなく、確定申告となる。
  年末調整には、保険料控除証明書や国民年金保険料控除証明書などの書類提出が必要となる。郵送されてきた書類はなくさないように保管しておくべきで、万が一紛失した場合には、再発行処理を依頼して、控除漏れのないように年末調整の適用を受けよう。
(村田 直 マネーコンシェルジュ・今村仁税理士事務所)
2006.11.20
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