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家計の金融資産の状況
●  金融機関の選択は健全性から利便性へ
  日本銀行の金融広報中央委員会から、平成18年の家計の金融資産状況や金融行動・意識に関する調査の結果が発表された。
  まず世帯の金融資産の保有額は、全世帯平均で1,073万円となり、17年調査の1,085万円から微減している。金融資産を保有していない世帯を除く平均は1,440万円と前年の1,544万円から大幅に減少しており、金融資産保有世帯での資産減少の影響が全体平均を引き下げていることが分かる。金融資産を保有していない世帯の割合は、15年の21.8%から16年22.9%、17年23.8%と年々増加していたが、18年は22.9%と逆に減少している。
  保有している金融資産の種別残高内訳は、民間の「預貯金」が39.0%である。17年39.7%、16年41.5%、15年42.5%であることから、年々金融資産全体に占める割合は低下している。「保険(簡保、損保、個人年金を含む)」が24.2%であり、17年24.7%、16年26.4%、15年24.4%と比べて横ばいを保っている。「郵便貯金」が15.6%で、17年18.4%、16年18.6%、15年19.9%と毎年が低下しているなか、来年の民営分割を控えて一段と落ち込みが激しい。「有価証券(債券、株式、投信)」が15.9%で、17年12.4%、16年9.4%から大きく割合が高まっている。郵便貯金、預貯金から有価証券への資産移行が進んでいることが分かる。
  取引先金融機関を選択する理由としては、「近所に店舗やATMがある」とする回答が前年の76.7%から78.7%へ増加している。また「店舗網が全国展開されている」が22.5%から25.0%と増えている。一方、「金融機関の経営が健全で信用できる」が31.5%と17年32.2%から微減している。16年が28.6%であり、17年に32.2%へ増加したことを考え合わせると、金融機関の選択基準は、ひところ重視されてきた健全性から利便性へ戻っているようである。
●  金融商品選択基準は安全性から収益性に移行
  金融商品選択の際に最も重視することとして、「元本が保証されている」「取扱金融機関が信用できて安心」などの安全性が46.1%ともっとも多いが、17年48.3%、16年51.1%から継続して減少している。「少額でも出し入れできる」「現金に換えやすい」などの流動性が29.4%で、17年27.4%、16年27.7%から増加している。「利回りが良い」「値上がりが期待できる」などの収益性を重視するのが17.3%で、17年14.7%、16年13.9%から増えており、ここでも選択基準は安全性から収益性・利便性に切り替わっているのがわかる。
  金融商品の選択に関する自己責任に関する意識についても、金融資産1,000万円超の世帯について調査した。外貨預金を除く預金に関しては、「自分で責任を持つのは当然である」が35.8%(17年38.2%)、外貨預金に関しては62.0%(同56.4%)、株式は72.2%(同48.6%)、公社債投信は31.7%(同49.4%)などとなっており、自己責任意識はこの1年間で強くなっているようだ。
出所:金融広報中央委員会「家計の金融資産に関する世論調査(平成18年)」
(可児 俊信、ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.11.27
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