>  今週のトピックス >  No.1347
新入社員の初任給額は増加の兆し
●  初任給は前年比微増
  厚生労働省から、平成18年の初任給の状況が調査・報告された。初任給調査は、この8月に日本経団連からも報告されている(本欄「今週のトピックス」1297参照)。
  日本経団連の調査では、初任給を凍結している企業が68.9%とあいかわらず7割近くに及ぶものの、前年が86.0%であり、かつ過去4年間80%以上であったことを考えあわせると、解氷に向かっていることが改めて示された形となった。
  初任給額は大卒事務系で203,960円(前年が203,230円で0.36%の増加)、技術系で206,413円(同204,559円で0.39%増)、大学院事務系で222,050円(同221,824円で0.46%増)、技術系で223,149円(同222,957円で0.40%増)となっていた。
●  大卒初任給額は19万円台を推移
  厚生労働省の調査では、大学院(修士課程)卒は、事務系・技術系平均して224,800円と前年の220,400円より2.0%増となっている。大学卒では、やはり平均して196,200円と同193,900円より1.2%増となっている。日本経団連調査と比べて大学院では高めに、大学卒では低めに出ている。金額が低めに出た理由として、この調査は常用労働者を対象とするものであり、非正規社員も含まれていることが挙げられよう。ただし伸び率は日本経団連調査より高い結果となっている。
  初任給額の推移は、大学卒で見ると平成13・14年は195,100円、15年で198,100円、16年で195,000円、17年193,900円と横這いまたはやや低下気味であったものが、久々に反転している。
●  業種別の最高初任給額は情報通信業
  企業規模別の初任給を見てみると、大卒で大企業(1,000名〜)は197,000円と前年比1.8%の増加、中企業(100〜999名)は196,800円と同0.5%増、小企業(10〜99名)は2.6%増と大企業と小企業での伸び率が高くなっている。
  業種別に大学卒の初任給をみると、最も高いのは情報通信業で206,600円で突出している。次にその他サービス業の201,500円、卸小売業の196,600円、製造業の196,500円、教育・学習支援業の194,600円となっている。逆に低い業種は保険・金融業の185,000円、医療・福祉の186,900円などが挙げられる。業種別に前年との増減を見ると、建設業が▲2.5%と大きく下げている。逆にその他サービス業が4.7%増、運輸業は3.9%増と、業種ごとに変動の差は大きい。
出所:厚生労働省「平成18年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」
(可児 俊信、ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.12.04
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