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飲んでいるのは酒でなく税金!?〜ご存知ですか?ビール、発泡酒、第3のビールの税負担率
●  負担税率をある程度知っている人はわずか6人に1人
  今年5月から酒税の税率が見直され、新ジャンルの酒、いわゆる第3のビールは増税、発泡酒は変わらず、ビールはやや減税となった。ところで、酒税はタバコなどと同様に税金が販売価格に隠れてしまっているため、おおよその税負担率すら知らない人が多い。
  ビールメーカー5社で組織する『発泡酒の税制を考える会』が愛飲者を対象に7月中旬に実施した「ビール・発泡酒・新ジャンル商品の飲用動向と税金に関する調査」では、税負担率をある程度でも認識している人は、「ビール」「発泡酒」「新ジャンル商品」ともに6人に1人程度と極めて低率だったことがわかった。
  調査結果(有効回答数1033人)によると、ビールの小売価格1本あたりの税負担率を聞いたところ、「20〜30%未満」が22.6%でトップ、次いで「30〜40%未満」18.6%、「40〜50%未満」15.0%となった。現在のビールの負担税率は「46.2%」なので、正解は2割に満たない。同様に、発泡酒350ミリリットル1缶の税負担率「35.5%」、新ジャンル商品の「25.5%」をある程度認識していた割合は、それぞれ14.8%、17.3%だった。
●  愛飲家が考えるビールの適正税率は18.1%
  次に、実際の税負担率を提示したところ、「思っていたより高い」との回答割合が、「ビール」で69.4%、「発泡酒」で67.2%、「新ジャンル商品」で53.6%と大勢を占めた。
  また、適正と思われる税負担率を聞いたところ、ビールでは、4割以上が「10〜20%未満」(42.9%)、3割弱が「20〜30%未満」(28.5%)と回答し、この10〜30%未満で7割を超えた。ちなみに、平均は「18.1%」と実際(46.2%)の税率よりも28.1ポイントも低くなる。
  同様に、発泡酒の適正税率はビールを下回る「14.8%」と実際(35.5%)よりも20ポイントほど低く、新ジャンル商品も「12.5%」と実際の税率(25.5%)の半分程度が適正税率という結果となった。
●  大勢を占めた「減税すべき」との意見
  これらの酒類の税に関する意見を提示して感想を聞いたところ、「そう思う(まったく+まあ)」との肯定的回答は、「発泡酒の増税は企業努力の無視」(87.0%)、「新ジャンル商品の増税は企業努力の無視」(86.6%)、「安くてよく売れているお酒の増税は公正ではない」(85.7%)の3項目が上位となった。これは、発泡酒も新ジャンル商品も、消費者のニーズに応える形で企業が努力を積み重ねて開発した商品であり、それらに税負担を増やすことへの反発が、顕著に表れた結果といえる。また、「消費税があるのに、酒税もとるのはおかしい」(71.8%)という二重課税に矛盾を感じる人も多いようだ。
  こうしたことから、税金はどうあるべきかについては、「減税すべき」との意見が「ビール」で73.9%となり、「現在の税率を維持すべき」(18.3%)や「増税はやむを得ない」(2.6%)との回答を大きく上回った。「減税すべき」は、「発泡酒」でも73.2%、「新ジャンル商品」でも71.8%と多数を占めている。
  発泡酒や第3のビールは、9割強が家庭で飲まれている。企業努力を無視し、家庭でのささやかな楽しみにも水を差す増税に怒りさえ覚える消費者は少なくないと思われるが、せめて正確な税負担率を認識した上で反発していただきたいと思うのである。
参考:「発泡酒の税制を考える会」ホームページ
(浅野 宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2006.12.11
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