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● 還付申告始まる
平成18年分確定申告が来月16日から始まるが、それに先立ち、今年の1月1日から既に還付申告の受付が始まっている。
サラリーマンなどは確定申告をすれば所得税が還付される場合でも、手続きに対する抵抗感があるからか、還付を受けていない場合も多いのではないだろうか。そもそも還付を受けられるということに気付いていない方も多いのかもしれない。
今回は確定申告で所得税の還付を受けられるパターンをまとめてご紹介しようと思う(個々の項目についての詳細な説明は省略する)。
● 所得税の還付を受けられる方

- 平成18年中に多額の医療費がある場合
平成18年中に支払った医療費の合計が10万円(平成18年の所得金額が200万円未満の場合にはその5%の金額)を超える場合には、確定申告で医療費控除の適用を受けられる(控除限度額は200万円)。
- 年の中途で退職した場合
年の中途で退職し、そのまま再就職をしなかった場合には、年末調整をしていないため、確定申告をすれば差し引かれた源泉所得税の一部が還付される。
- 年末調整で控除証明書類などを出し忘れた場合
年末調整時に保険料控除証明書などの提出を忘れていた場合には、確定申告で控除の適用が受けられる。
- 年末調整後に、結婚や子供が生まれたなど扶養親族が増えた場合
年末調整後に扶養親族が増えた場合には、確定申告することによって還付が受けられる。
- 年末調整で扶養親族の申告漏れがあった場合
意外に多いのが年末調整時の扶養親族の申告漏れ。例えば、仕送りをしている実家の両親は1人暮らしの学生を、同居していなくても扶養親族にできる場合がある。
また、夫が年の中途で退職し、年間収入が141万円未満というような場合、妻の収入が多ければ、妻の方で配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受けることも可能である。離婚などしている場合の寡婦(寡夫)控除なども適用漏れが多い。会社の年末調整が必ずしも正しいとは限らないので、再度確認してみることをおすすめしたい。
- 年末調整後に未納の社会保険料をまとめて支払った場合
年末調整で適用を受けていないため、確定申告での還付が可能。
- 平成18年中に5,000円超の特定の寄付をした場合
日本赤十字社や日本ユニセフ協会などに5,000円超の寄付をしていれば、確定申告で寄付金控除の適用が受けられる。
- 今回初めて住宅ローン控除の適用を受けられる場合
平成18年から初めて住宅ローン控除の適用を受けられる方は確定申告が必要。
- ゴルフ会員権を売却し、売却損が出た場合
ゴルフ会員権の売却損は給与所得などと損益通算することができるため、確定申告すれば所得税の還付が可能。
- 自宅を売却し、売却損が出た場合
この場合には一定の要件を満たせば、給与所得などと損益通算が可能で、相殺しきれない場合には、翌年以後3年間損失を繰り越すことができる。
- 過去5年分の医療費や保険料控除証明書などが出てきた場合
還付申告は5年間さかのぼることが可能である。過去の医療費の領収証などであっても、今から還付申告することができる。
- 配当所得がある場合
上場株式などの配当であれば確定申告は不要だが、場合によっては確定申告をして配当控除と定率減税の適用を受ければ、所得税が還付になるケースもある。ただし、自身が扶養控除や配偶者控除から外れる場合があるため、注意が必要である。
- 平成18年中に災害や盗難にあった場合
差引損失額が所得金額の10%を超える場合や災害関連支出が5万円を超える場合には、確定申告で雑損控除の適用が可能。
- 給与所得者の特定支出控除の特例の適用を受ける場合
給与所得はあらかじめ給与所得控除という概算経費が控除されているが、その金額より転勤にかかった引越費用や単身赴任での勤務地と自宅との往復交通費など実際にかかった経費の方が多ければ、確定申告することによって所得税の還付が可能。
- 所得が年金収入のみの場合
年金所得者で所得税が源泉徴収されていれば、確定申告することによって所得税の還付が可能。
- 退職所得について20%の源泉徴収がされている場合
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していなければ、20%の源泉徴収がされているため、確定申告することによって所得税の還付が可能。
- 退職所得が退職所得控除を超えているため源泉徴収されている場合
退職所得は本来確定申告が不要だが、確定申告することによって定率減税の適用を受け、所得税が還付される場合がある。

(村田 直 マネーコンシェルジュ、今村仁税理士事務所)
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