>  今週のトピックス >  No.1377
4割弱の企業、「過去3年間に何らかの採用業務をアウトソーシング」
●  4割弱の企業、「過去3年間に何らかの採用業務をアウトソーシング」
  厚生労働省はこのほど、「労働者の募集・採用に関する実態調査報告書」を発表した。それによると、4割弱の企業が過去3年間に、何らかの採用業務をアウトソーシングしている。また、約4割の企業が募集の際に、インターネットを通じて独自に様式や項目を定めたエントリーシートを提出させる方式を採用している。企業側も個人情報の取り扱いについては、課題もたくさん残っており、個人情報保護の観点からも課題を明らかにすることが求められている。
●  採用ポータルサイト利用、82.9%
  従業員の募集に際してエントリー方式を採用している企業の中で、採用ポータルサイトを利用している企業が82.9%と高い割合であるが、その活用方法としては「会社説明会への参加リスト」として利用しているケースが多く、次いで「採用に関わる書類の発送リスト」の順になっている。企業側は採用の入口の部分にあたる業務をアウトソーシングし、効率的に進めようとしていることが読み取れる。
  また採用ポータルサイトの個人情報保護の状況についてみると、「採用情報サイトの担当者から個人情報管理の規定や運用について説明を受けた」と答えた企業割合は69.1%となっている。また、社内外の個人情報管理の専門家を交えて規定を詳細に検討している企業も28.9%あり、内容に差はあるものの、個人情報保護の意識がかなり高くなっていることは確かである。
●  阻害要因は、「費用がかかりすぎる」
  過去3年間に何らかの採用業務についてアウトソーシングしたことがある企業割合は、4割弱となっており、これを規模別に見ると300人以上の企業で6割弱、300人未満の企業で2割となっている。アウトソーシングしたことがある業務で最も多いのは、「ホームページ、パンフレットなどの企画制作」であり、次いで「適正検査、能力判定試験の作成代行(販売)」となっている。このように採用業務をアウトソーシングする理由については、「人手の確保」と「社外の専門性利用」と答えた企業割合が高く、「コスト削減」と答えた割合は意外にも少ない。
  アウトソーシングサービスを利用しない企業の理由としては、「費用がかかりすぎる」、「よい人材は、自分で選びたい」、「自社にノウハウが残らない」と答えた割合が高かった。
  これらの課題はあるものの今後も採用業務に関してはアウトソーシングが進展していくと思われる。業務ごとにみていくと、DM発送やデータ入力、事務連絡などのアウトソーシングはより進む一方で、面接などの選考業務についてのアウトソーシングはあまり進まないものと思われる。
  各企業もこれらの調査結果をもとにあらためて自社のアウトソーシング状況を細かく分析してみて、サービス提供会社の質や価格などをじっくり比較し、その利用や今後の導入について検討してみるのもよいのではないだろうか。
出所:厚生労働省「労働者の募集・採用に関する実態調査報告書」
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai08/index.html)
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2007.01.29
前のページにもどる
ページトップへ