>  今週のトピックス >  No.1383
賃金は上向き傾向
●  所定内賃金は2年連続の増加
  厚生労働省が毎年調査している民間企業の給与などの調査「毎月勤労統計」の2006年の結果が発表された。
  所定内給与(月額)は、30名以上の事業所の平均は276,369円で、前年の275,231円より0.4%増となった。前々年は273,978円である。2004年までは5年連続で減少していたが、この2年は連続の増加となった。業種別に見ると、製造業では前年比0.3%増の287,804円で4年連続の増加である。サービス業が横這いの240,068円(前年は240,086円)。卸売・小売業は231,748円で前年比2.5%増加している。卸売・小売業は前年も2.6%増加しており、2年連続の大幅な上昇である。
  図表にあるとおり、ここ数年、所定内給与は全体的に頭打ちから低下傾向であったものの、2年連続で増加に転じている。業種別に見ると、製造業は右肩上がりで4年連続の増加であるのに対して、サービス業、卸売・小売業は下がり続けていた。特に、卸売・小売業の所定内給与の減少が著しく、最も高かった時期から7%の下落となっていたが、ここ2年回復している。(図表)。
●  正社員とパートタイマーの賃金格差は依然存在
  これを就業形態別に見ると、30名以上の事業所においては、一般労働者(正社員)の所定内給与が325,646円であるのに対して、パートタイム労働者が95,385円と、その格差は3.4倍と大きい。
  業種別でも一般労働者とパートタイム労働者の給与格差については同様の傾向がある。
  正社員だけで見ると、業種別で所定内給与の差はほとんどない。パートタイム労働者の社員全体に占める割合は、30名以上事業所についてみると、全業種平均で21.4%である。業種別では製造業が最も低く10.3%、卸売・小売業が最も高く42.7%、サービス業が27.5%である。
  先に見た業種別賃金の格差は、正社員の業種別給与格差ではなく、業種ごとのパートタイム労働者の占率の違いがそのまま平均給与に反映されていることが分かる。またサービス業の所定内給与のダウンも非正社員の比率が増加していることの反映かもしれない。
【業種別所定内賃金指数】
出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査(平成18年)」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.02.13
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