>  今週のトピックス >  No.1385
臨時雇用者と女性雇用者は5年前に比べて大幅に増加
●  臨時雇用者、約700万人に
  2005年国勢調査の第2次基本集計結果の概要によると臨時雇用者が平成12年と比べ5年間で14.8%増加し、その数は772万人にのぼることが分かった。また、労働力人口に占める女性雇用者も5年間で26万人増加していることが分かった。
  この国勢調査は、我が国の人口の状況を明らかにするため、大正9年以来ほぼ5年ごとに行われており、平成17年国勢調査はその18回目に当たる。第2次基本集計は、人口の労働力状態別構成及び就業者の産業(大分類)別構成などに関する結果を全国、都道府県、市区町村別に集計するものとなっている。
  平成17年の労働力人口は6,540万人と、平成12年より70万人(1.1%)減少しており、労働力不足が進んでいる。こうした中、臨時雇用者や女性雇用者が増加している今回の結果は、今の国内労働市場の特徴を表しているといえるだろう。
●  女性の雇用環境、整備進む
  就業者を年齢階級別にみると平成12年に比べ、男女ともに55〜59歳で最も増加していることが分かる。臨時雇用者についても、男性は60〜64歳、女性は55〜59歳で最も増加している。男女の就業者とも高齢での臨時雇用者が増加している背景には、定年延長による企業の雇用制度の変化や家族環境の変化があるようだ。
  また、労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)を見ると、男性は60歳、61歳で大きく上昇している。女性においては、24歳と46歳、47歳を頂点とし、35歳を谷とするM字カーブと呼ばれる特徴的な労働力率を示している。カーブがM字となるのは、女性が結婚、出産、子育ての期間に一時的に働かなく、もしくは、働けなくなるためである。今回の調査では平成12年に比べ、労働力率が23〜71歳の各年齢で上昇し、特に、谷となる28〜33歳の各年齢で5ポイント以上の上昇がみられ、M字カーブの底が上昇する結果となった。これは、女性の社会進出や少子化の進行、求人ニーズの高まりによって育児・介護休業法の改正などの育児支援に関する法整備や企業でも託児所を設けるなどの企業努力が進み、女性が働きやすい環境が少しずつではあるが整ってきているからだといえるであろう。今後ますます女性の果たす役割が大きくなることを考えると、M字カーブの底は今後も上昇するのではないだろうか。
●  男性の労働力人口は、5年前に比べて96万人の減少
  今回の調査で、女性の労働力人口が増えていることは大変喜ばしいことではある。しかし、全体で見ると、労働力人口は減少しているのが実情である。特に、男性の労働力人口は平成12年と比べると96万人の減少となっており、これは、女性の増加人数の4倍近い人数の減少である。また、臨時雇用者の増加の一方で、常用雇用者は約140万人も減少している。こうした状況を放っておけば、生産性の低下を招くことになり、ますます国民の格差を生むことになる。国と企業だけではなく、我々国民もこの状況を真摯に受け取り、総力を挙げてこの問題に取り組んでいかなければならないだろう。
出所:総務省統計局「平成17年国勢調査 第2次基本集計結果 「結果の概要」」
(http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/kihon2/00/mokuji.htm)
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2007.02.13
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