>  今週のトピックス >  No.1387
急速に拡大する人材派遣市場
●  派遣された労働者数は12%増
  労働者派遣事業の17年度の状況が、厚生労働省から報告された。16年度内に実際に派遣された派遣労働者数は約255万人で、前年度の約227万人と比べて12.4%の大幅な増加となった。ちなみに前年度は対前年度比4%の減少を示していた。派遣労働者は、派遣会社に登録して期間を定めて派遣される労働者(以下、一般派遣労働者)と、期間の定めなく派遣される労働者(以下、特定派遣労働者)に分かれ、前者は238万人、後者は15万人である。
  一般派遣労働者は、さらに1年を通じて常に派遣されていた労働者(常用雇用労働者)と、1年のうち派遣されていない期間のある労働者(登録者)に区分されて集計されている。
  一般派遣労働者238万人のうち、常用雇用労働者は約45万人で、前年度の27万人から66%増と大きく増加している。常に雇われている派遣労働者が増えていることが分かる。
  登録者193万人を見ると、年間の平均派遣労働期間は3.9カ月であり、前年度の3.1カ月と比べて長くなっている。派遣労働者のニーズが高まっていることがうかがわれる。
  一方、特定派遣労働者は15万人で、派遣労働者に占める割合は低いが、前年度の14.6万人からは増加している。このようにあらゆる派遣者の需要が高まっているのが現状である。
●  派遣受け入れ事業者も4割増
  一般派遣労働者の派遣先業務の種類は、事務用機器操作が45.9%(前年度48.6%)と半分近くを占め、次いで財務処理11.8%(同12.7%)、取引文書作成6.8%(同5.3%)、ファイリング5.3%(同5.9%)などの順となっている。なお特定派遣労働者の業務は、機械設計30.4%(同32.4%)、ソフトウエア開発29.8%(同28.7%)、事務機器操作15.7%(同16.2%)である。
  派遣先は65万事業所であり、前年度比32.7%増(前年度の対前年度比も17%増)となっており、派遣を受け入れる事業所はどんどん増加している。派遣事業者の売り上げも全体で4兆円(同2.8兆円)であり、前年度比41%と大きく伸びている。
  派遣料金(派遣先が派遣元へ支払う料金)は、一般派遣労働者では15,257円で、前年度より4.4%減と横這いであり、派遣のニーズが高まっているのに料金は上がっていない。特定派遣労働者は、23,028円と一般に比べて高いが、これも前年比10%のマイナスである。
  保険賃金(派遣元は派遣労働者に支払う賃金)は、一般派遣労働者では10,518円(前年11,405円)、特定派遣労働者が14,253円(同15,997円)とこれも下がっている。
  このように派遣者が大幅に増えていること、また派遣料金などが下がっているのは、2006年3月から製造業派遣が認められ、それが派遣労働者に含まれるようになったためである。製造業派遣の料金はかなり低いことが想像される。
出所:厚生労働省「労働者派遣事業の平成17年度事業報告」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.02.19
前のページにもどる
ページトップへ