>  今週のトピックス >  No.1391
進む企業年金の切り替え
●  厚生年金基金は確定給付企業年金へ切り替え
  2001年の確定拠出年金法施行、2002年の確定給付企業年金法施行と厚生年金基金の代行返上の開始によって幕が上がった戦後最大の企業年金の大改正は、株式市場の好調に支えられ、軌道に乗り始めた。
  最盛期には1,900件近かった厚生年金基金も、代行返上が進んだ現在(2007年2月1日時点)では、従来の基金の形態のまま存続しているのは639件(2006年7月時点では651件、2006年1月時点では669件、2004年12月では736件)、639件のうち総合型が514件と大部分であり、単独型・連合型はほとんど代行返上を終えていることが分かる。
  将来部分だけでなく過去部分の返上も終えて確定給付企業年金に移行した基金が780件。これまで解散した基金が499件で最盛期の1/4以上にあたる(代行返上した後の解散も含む)。最盛期に1,200万人以上いた加入者数も、現在は約525万人と半分以下となった。確定給付企業年金1,866件のうち、代行返上によって厚生年金基金から確定給付企業年金に切り替わった件数は上述の780件であり、確定給付企業年金の半分弱を占めている。移行した780厚生年金基金のうち、604件は基金型の確定給付企業年金に移行している。
●  適格年金は最盛期の半分へ
  平成24年3月で制度が終了することが決まっている適格退職年金は、最盛期は92,467件だったが、2006年3月末時点では45,090件(2005年3月末では52,761件、2004年3月末では59,162件)と、最盛期の半分以下まで減少している。また1,078万人だった加入者数も、現在は567万人とやはり半分以下に減少している。
  制度終了後の受け皿の制度としては、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済がある。企業型確定拠出年金は、2006年12月末現在で規約数は2,161件、加入者数は約208万人である(2006年11月末現在)。株式市場の好調を背景に規約数、加入者数ともに急増している。また制度の見直しも予定されており一層普及にはずみがつくと予想される。
  新しい企業年金である確定給付企業年金は、厚生年金基金からの移行を除いた新設の件数は1,086件である。確定給付企業年金制度の発足当時は、そのほとんどが厚生年金基金からの移行によるものだったが、ようやく新設数が移行数を追い抜いた。加入者数は2006年3月現在で384万人である。
  また適格退職年金から中小企業退職金共済制度に資産が移換された件数は、2006年12月末で11,153事業所、加入者数は約32万人である。
  確定給付企業年金、確定拠出年金、中退共は企業年金改革の受け皿として機能を発揮してきた。
出所:企業年金連合会「企業年金の現況」、厚生労働省「確定拠出年金連絡会議」、中小企業退職金共済事業本部
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.02.26
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