>  今週のトピックス >  No.1398
中国市場に端を発した世界同時株安
●  上海の暴落がきっかけ
  中国株式相場の急落が引き金となり世界の株式市場が同時に株安となる事態が発生した。これを受け2月28日の東京株式市場は日経平均株価の終値が前日比515円安の1万7,604円と、2006年6月13日以来の大幅な下落幅を記録した。日銀の利上げを背景とした株高傾向が鮮明だったところで、アジアに端を発した株安現象が起こり、利益確定売りが膨らんだため大幅安となった。
  引き金は上海株式市場の急落だ。3月5日に全国人民代表大会の開催を控え、副委員長が株価の高騰をバブルと指摘。証券当局が株式営業に対する規制や監視を強化したこともきっかけとなった。また、米国では2月26日にグリーンスパン前連邦準備理事会(FRB)議長が米景気後退の可能性を示唆。アジアの株安がきっかけとなり27日の米国株式相場は、ダウ工業株30種平均が前日比3%も下がり、2001年9月の同時多発テロ事件直後以来の大幅安となった。
●  日本の株式市場は上げ基調だった
  日経平均は2月22日、6年9ヵ月ぶりに1万8,000円台を回復していたところだった。きっかけは2月21日に日銀が追加利上げに踏み切ったこと。次の利上げまで当分時間がかかるとの認識が広がり、株高につながった。
  日銀にとって今回の追加利上げは「三度目の正直」。昨年12月、今年1月は時期尚早と断念した経緯がある。次の利上げは7月の参院選など政治日程への配慮もあり、夏以降とみる市場関係者が多い。総裁が「金利調整はゆっくりと進めていく」との姿勢を示したことが根拠だ。
  米国との政策金利差は依然として大きい。円で調達してドルを買うなどの「円キャリー取引」はしばらく高水準で推移しそうとの見方から、為替相場では利上げ後円売りドル買いの動きが再加速。円安で輸出中心の日本企業の業績はさらに改善するため株高に拍車をかけていたところだった。
●  市場は楽観的
  世界同時株安に巻き込まれ、1万7,000円台に押し戻された株価だが、市場では楽観的な声が多い。利上げに対しても企業側の抵抗力はついている。業績好調な日本の製造業の金融収支はすでに赤字を脱した。金融収支が黒字ということは借金の支払利息より預金の受取利息や投資した企業などからの配当金の方が多いことを意味する。金利上昇がむしろ利益を増やす要因となりつつあるのだ。
  企業の業績自体は堅調だ。利益確定の売りに走った外国人や個人の買い意欲が戻れば株価はまた上昇基調に戻る可能性が高いといえるだろう。
2007.03.05
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