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期末直前に取るべき決算対策とは
●  期末直前に取るべき決算対策とは
  3月も半ばに差し掛かり、3月決算法人はあと約半月で決算期末を迎える。実際に決算が確定するのは5〜6月になるが、節税対策という面では今月中に打てる手は打っておきたいところだ。今回は決算直前に取るべき節税対策を取り上げる。
●  消費税の課税方法の選択
  決算直前に必ずチェックしておきたい項目の一つに消費税がある。
  消費税の届出は法人設立初年度などを除き、通常は適用を受けようとする事業年度開始日の前日までに提出しておく必要がある。
  例えば、3月決算法人が現在原則課税を適用しており、平成19年4月1日から始まる事業年度より簡易課税を適用したい場合には、この3月末までに簡易課税選択届出書を提出しておかなければならない。恐らくどの法人でも、消費税計算を実施するのは実際に数字が固まった5月頃になるだろうが、それから届出書の提出を検討したのでは適用が1年遅れとなってしまう。
  原則課税と簡易課税の選択が可能な法人や、現在消費税が免税の法人などは、今期の数字を基に来期の予想を行い、現在選択している課税方法が本当に有利かどうかを今月中に再確認しておく必要がある。
●  実質一人会社課税対策
  平成18年度税制改正により、「業務主宰役員給与の損金不算入」いわゆる実質一人会社課税が導入されたため、今後は決算直前にこの対策も考えておく必要がある。この制度の対象になるかどうかは決算期末時点で判断されるため、3月決算法人の場合は今月中であればまだ対策の余地があるのである。
  この制度は、おおまかには「オーナー一族の持株割合が90%以上」でかつ、「常務従事役員の過半数をその同族が占める場合」となっている。従って、例えば役員1人の会社の場合には、今月中に常務従事役員として自分の同族以外の第三者を役員として迎えれば、この制度の対象外となる。もちろんこのためだけに役員増員を行うのは本末転倒だが、実施可能な範囲で打てる手がないかどうかの検討はしておきたい。また対策の打ちようがない場合には、今期及び来期でおおよそいくらの増税になるのかをシミュレーションしておこう。
●  短期前払費用の活用
  また、決算直前の節税対策の定番の一つに短期前払費用の活用がある。
  通常前払費用は経費計上できないのだが、法人税法では1年以内に支払期限が来る短期前払費用については、継続適用を条件に経費計上することを認めている。継続的に役務提供を受けている地代家賃などが対象となる。
  例えば、事務所家賃を3月末に1年分前払いするといった対策が考えられる。手形による支払いも認められるため、現金による一括支払いが難しいというときにも利用できる。ただし、あまり早く支払ってしまうと短期前払費用として認められないこともあるため、支払時期には注意が必要だ。決算期末ぎりぎりというタイミングが望ましい。しかし家賃の場合には1年分を前払いしてしまうと、事務所移転などがしにくくなるというデメリットもある。
●  債権放棄の内容証明
  債権回収が滞っていたり、実質的に回収が不可能な債権があったりするような場合には、決算期末までに相手方に債権放棄の内容証明郵便を送っておきたい。決算時に貸倒損失として計上するためである。法的手続を踏むことで貸倒損失として計上することができ、税務調査時の根拠資料ともなる。ただし相手に支払能力がある場合には、債権放棄をしても税務上寄附金として認定される恐れがあるため、注意が必要である。
  なお、これらの決算対策は月々の「早く、正確な試算表」が基になってくる。期中からそのための仕組み作りをしておかなければ、早めの決算対策もできないということを最後に付け加えておきたい。
(村田 直 マネーコンシェルジュ、今村仁税理士事務所)
2007.03.12
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