>  今週のトピックス >  No.1403
外資系企業の労使関係
●  外資系企業は女性管理職が多い
  1997年の金融ビッグバンをきっかけに外資系の企業が増加している。厚生労働省の外郭団体である(独)労働政策研修・研究機構は、定期的に外資系企業の労使関係について調査を行っている。今般、2006年3月に行った調査結果が報告された。
  外資系企業ではマネジメント層は外国人というイメージがある。常用労働者に占める外国人の割合は4.7%。業種別にみると、製造業では3.3%だが、金融・保険業では21.2%、サービス業14.0%と業種別で差が大きい。一方で回答企業のうち、外国人がまったくいない企業が63.2%もある。
  社員の男女比率は3:1であり、女性は26%を占めている。女性管理職のいる企業は32.7%と3社に1社は女性管理職がいることになる。管理職全体に占める女性管理職の割合は7.7%であり、厚生労働省が行なった国内企業対象の調査の5.8%と比べて、外資系の方が高い。
●  毎年1割の従業員が入れ替え
  外資系企業は人の入れ替わりが激しいイメージがあるが、従業員の10人中1人(11%)が1年以内に入社している。またそのうち、中途採用者が7割を占める。新卒者の採用ルートは「学校経由」が51.5%、「縁故採用」が33.3%となっている。中途採用者は「人材会社経由」が50%超(管理職に限れば60.7%)となっている。次に縁故採用が34.8%である。今後の採用ルートの方針は、「中途採用主体」という回答が70.6%、「新卒と中途の併用」が11.0%である。
  一方で離職者は過去1年間で従業員全体の9%を占めており、採用された分だけ退職していることになる。
●  初任給は国内企業を上回る
  賃金について、まず初任給をみると大卒事務系は男性で222,293円、女性で214,256円である。国内企業は、厚生労働省の「賃金構造基本調査」によると、大卒事務系の男性で196,300円、女性は187,400円であり、外資系は初任給で上回っている。業種による初任給格差も大きく、金融・保険業に限れば、男性で305,300円、女性で262,000円、情報通信業では男性・女性とも294,400円と飛び抜けて高い。
  30歳男性では、月額給与が344,179円、賞与が年間で120万円、年収530万円であり、さほど高い水準ではない。
  労働組合のある企業の割合は8.5%と低い。ただし、1,000名以上の企業では3社に2社に労組があるなど、企業規模が大きいほど労組が作られていることが分かる。
  外資系企業という一般的なイメージのように就退職は毎年1割が入れ替わるということで高い水準にあるようだ。また女性管理職も国内企業より多い。賃金は業種別に全く異なるが、初任給は高いがその後はさほど開きがないようである。
出所:(独)労働政策研究・研修機構「2005年度外資系企業の労使関係等実態調査」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.03.19
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