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高年齢者雇用延長の実態
●  継続雇用は再雇用制度がほとんど
  高年齢者雇用安定法の改正により、2006年4月から65歳までの雇用の確保が義務付けられた。具体的には、(1)定年を廃止する、(2)定年を引き上げる、(3)継続雇用制度を導入する、のいずれかである。(独)労働政策研究・研修機構では、2006年10月時点での雇用確保の実態を調査した。
  まず定年がないとする企業は0.6%に過ぎず、ほとんどすべての企業で定年制があると回答した。定年がある企業のうち、94.3%が定年年齢を60歳と設定している。
  65歳までの雇用確保の方策としては、「再雇用制度の導入」が91.3%、「勤務延長制度の導入」が7.7%とほとんどが継続雇用で対応している。定年年齢を引き上げた企業は、2.4%に過ぎない。
  継続雇用における上限年齢の設定について、年齢を定めている企業は60.3%と全体の6割、厚生年金の定額部分の受給開始年齢と接続する年齢までとするのが32.4%、特に年齢を定めていないのが6.7%となっている。なお、年齢を定めている企業の8割が65歳以上に設定している。
●  希望者全員が継続雇用される企業は少ない
  定年退職を控えた従業員が、継続雇用制度を活用するかどうか本人に確認する時期は、59歳とするのが69.3%で全体の7割である。58歳時点が11.5%、60歳が12.4%となっている。
  継続雇用制度は、原則は希望者全員としなければならないが、労使協定によって対象者を限定することもできる。継続雇用制度のある企業のうち、希望者全員としているのは24.6%と全体の4分の1である。残りの72.2%は、希望者のうち会社が定める基準に適合した者に限定している。なお、それを企業規模別に見ると、300名未満の企業では40.8%が希望者全員であるが、1,000名以上の企業となると17.2%にとどまるなど、大企業ほど継続雇用者を制限する傾向にある。
●  継続雇用の基準は制限的
  制限する基準については複数設定されているが、最も多いのが「健康上支障がない」が88.7%、「働く意志・意欲がある」が83.5%、「出勤率・勤務態度」が62.7%と続く。さらに「一定の業績評価」を求めるのが57.4%、「会社が定める職務内容に合意できる」が45.3%、「会社が特に必要と認めた者」が29.2%など、かなり会社が継続雇用制度を制限的に活用できる基準を設けていることが分かる。
  継続雇用された場合の雇用形態は83.4%が嘱託・または契約社員である。12.0%が正社員、19.8%がパート・アルバイトである。雇用契約期間は1年とする企業が83.5%となっており、1年超の期間を定める企業は6.0%に過ぎない。
参考:(独)労働政策研究・研修機構「高年齢者の継続雇用の実態に関する調査」(2007年4月)
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.04.16
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