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減価償却資産の資本的支出の取り扱いは特例を規定
●  資本的支出は原則新規減価償却資産の取得
  今年4月1日以降取得する減価償却資産については残存簿価1円まで償却できることになったが、留意すべき点が多いのは、修理や改良などの資本的支出の取り扱いである。
  改正法では、既存の減価償却資産に対して2007年4月1日以後に資本的支出を行った場合は、原則、その支出金額を固有の取得価額として、既存の減価償却資産と種類・耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされる。
  その後は、その種類と耐用年数に応じて償却を行っていくことになり、他方、既存の減価償却資産本体については、この資本的支出を行った後においても、現に採用されている償却方法により、償却を継続して行うことになる。
  また、事業年度の中途で資本的支出を行った場合のその事業年度に係る償却限度額は、原則として、次の算式により計算した金額となる。
  「(資本的支出の当該事業年度の償却限度額)×事業の用に供した日から当該事業年度終了の日までの期間の月数/当該事業年度の月数」
●  改正前の既取得資産に対する資本的支出は加算も可能
  資本的支出の取り扱いは上記が原則だが、改正法では、取得価額の特例として、2007年3月31日以前に取得された既存の減価償却資産に資本的支出を行った場合は、その資本的支出を行った事業年度において、従来どおり、その支出の対象となった減価償却資産の取得価額に、この資本的支出を加算することができるとされた。
  ただし、この加算を行った場合は、改正前に取得した既存の減価償却資産の種類や耐用年数、償却方法に基づいて、加算を行った資本的支出部分も含めた減価償却資産全体の償却を行っていくことになる。
  いったん、減価償却資産全体に対して、その事業年度に償却費の計上を行った場合には、翌事業年度以降において、資本的支出を新たに取得したものとして償却することはできないので注意が必要だ。
●  定率法を採用している既存の減価償却資産に対する資本的支出にも特例
  また、資本的支出の対象資産である既存の減価償却資産(旧減価償却資産)と資本的支出(追加償却資産)について新定率法を採用しているときは、資本的支出を行った事業年度の翌事業年度開始のときにおいて、旧減価償却資産の帳簿価額と追加償却資産の帳簿価額との合計額を取得価額とする一の減価償却資産を、新たに取得したものとすることができる。ただし、この場合は、翌事業年度開始の日を取得日として、旧減価償却資産の種類・耐用年数に基づいて償却を行う。
  さらに、事業年度内に複数回支出した資本的支出について新定率法を採用し、かつ、個々の資本的支出について上記の適用を受けないときは、その資本的支出を行った事業年度の翌事業年度開始のときにおいて、その資本的支出のうち種類・耐用年数を同じくするものの、その開始のときの帳簿価額の合計額を取得価額とする一の減価償却資産を新たに取得したものとすることができる。ただし、この場合も、翌事業年度開始の日を取得日として、旧減価償却資産の種類・耐用年数に基づいて償却を行うことになる。
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2007.04.23
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