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企業のワーク・ライフバランス施策の導入状況
●  法定超の育児・介護休業は6割の企業で実施
  (財)社会経済生産性本部では、毎年、全上場企業を対象に人事制度の現状に関する調査を行っており、今般2006年度の調査結果が発表された。今回はワーク・ライフバランスの充実に関する取り組みが、これまでになく目立っている。
  ワーク・ライフバランスの柱のひとつは、働く人本人に合わせた労働時間の柔軟性である。図表1は、労働時間に関する制度の導入率を見たものである。いずれの制度も過半数の企業で導入済みであることが分かる。導入検討中の回答も含めると、法定超の育児・介護休業は6割超の企業で導入される。短時間勤務・フレックスは8割弱、子の看護休暇も7割超、勤務軽減(時間外勤務・休日勤務の免除、転勤時の配慮など)も7割となっている。
  逆に、導入の予定なし、廃止した企業も、各制度とも少なからず存在しており、取り組みの遅い企業も明らかにみられる。
  なお、これらの制度の導入率は、企業規模による格差が大きく、5,000名以上の企業であれば、いずれの制度の導入率も8割を超えるが、逆に500名未満の企業に限れば、導入率は5割弱となっているという。
【図表1 労働時間に配慮した制度】
●  企業規模によって経済支援施策は格差
  育児・介護については経済的負担も重いことから、金銭的な支援を導入する企業も多い。
  休職中の経済的支援(社会保険料の援助など)については、導入検討中を含めても導入企業は3割弱にとどまる。育児・介護において市中のサービスを利用する際の利用料を助成するなどの金銭支援については、導入率は2割強である。金銭的支援は必要ではあるものの、結果として一部の従業員だけを支援することになるため、従業員間の公平性の観点から導入が難しいといえる。
  これら金銭的な支援制度の導入率においても、企業規模による格差が大きく、5,000名以上企業では導入率は5割近いが、逆に500名未満の企業では1割前後と大きく見劣りがする。
【図表2 育児・介護への金銭支援】
出所:(財)社会経済生産性本部「第10回 日本的人事制度に変容に関する調査結果」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.05.01
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