>  今週のトピックス >  No.1441
7割以上の社員がパワーハラスメント対策として
「管理職への研修の実施」を望んでいる
●  労使の間は、意識の差が大きい
  4月26日、東京都産業労働局は「企業における女性雇用管理とセクシュアルハラスメントの取組等に関する調査結果」という資料を発表した。この調査は、職場における男女平等の推進に関する実情と課題を把握するために毎年実施されている。
  今回は、改正男女雇用機会均等法(平成19年4月施行)が、セクシュアルハラスメントの防止を女性労働者への配慮義務から、男女全ての労働者を対象とする事業主の措置義務とすることに着目し、法改正前のセクシュアルハラスメント対策の現状を調査したものである。今回の調査では、セクハラのみならず、パワハラ、育児休業に関しても調査が行われているが、その中でも今回はパワハラについて着目してみた。調査結果によるとパワハラ対策として管理職の研修の実施を望んでいる社員が7割以上いるにもかかわらず、実際行われている企業は2割に満たないというこの差をどうやって埋めていくかは今後のポイントになるに違いない。
●  現状を理解し、リスク回避をして会社を守る体制づくりが必要
  この調査は、都内全域の従業員規模30人以上の11業種、合計2,500事業所と、同事業所に勤務する従業員男女各2,500人、計5,000人を対象に行われたものである。
  これによれば、過去5年間にパワーハラスメントが「問題になった」事業所は9.6%、「実態としてはある」事業所は24.9%という結果となった。また従業員では、女性14.5%、男性13.1%がパワーハラスメントを「受けたことがある」と回答している。
  この結果を見る限りにおいては、意外と少ないように思われるが、実際には潜在的なものもたくさんあり、調査対象の企業規模によりもっと割合が高くなることも考えられる。
  「パワーハラスメント」という言葉の意味すらよく分かっていない管理職もいるので、まずは基本的な意味を理解してもらうことも必要である。
  パワーハラスメント対策については、「取り組む必要がある」と女性の73.8%、男性の66.1%が回答しており、具体的な取り組み内容としては、「管理職への研修・講習等の実施」が必要と考える従業員が7割以上(女性74.4%、男性75.9%)になっている。
  これに対し、事業所の実施状況を見ると、実際に管理職への研修を実施している事業所は17.2%にとどまっており、このギャップは大きい。
  また「就業規則等に禁止を規定」も女性46.1%、男性51.2%と比較的高い割合の回答であるが、実施している事業所の割合は、18.8%となっており、会社側の対応としては、分かっているもののなかなか対応できていないというのが現状である。
  今回の調査から、企業に求められることは、「管理職に対してのパワーハラスメントの研修の実施」であることが明確になっているので、研修を導入し、それらを今後どのように生かしていくかよく考えていく必要がある。パワーハラスメントに関する労働者と使用者の間での訴訟も、セクハラの訴訟と同じように今後は増加していくこともあり得る。企業側は一日でも早く対応してリスクを回避しておく必要があるのではないだろうか。
出所:平成18年度東京都男女雇用平等参画状況調査
『企業における女性雇用管理とセクシュアルハラスメントの取組等に関する調査』結果について
(http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2007/04/60h4q601.htm)
(庄司 英尚、株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2007.05.21
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