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2006年分所得税確定申告書の提出数は過去最高
●  申告者全体の55%は還付申告者
  国税庁がまとめた2006年分所得税の確定申告状況によると、所得税の確定申告書を提出した人は前年を1.3%上回る2,349万4千人となり、過去最高の数字を8年連続で更新した。この要因は、公的年金受給者や医療費控除・住宅ローン控除の適用者などの増加による還付申告者が増加したと推測される。還付申告者数は、前年を2.4%上回る1,225万3千人で過去最高となり、申告者全体の55%を占めた。
  確定申告書提出者のうち、申告納税額がある人は、前年に比べ0.7%減の823万3千人となったが、その所得金額は同1.4%増の44兆3,205億円、申告納税額は同8.4%増の2兆8,971億円となった。納税人員の減少は廃業増などによる事業所得者の減少、また、申告納税額の増加は定率減税の半減が要因と思われる。納税額は3年連続の増加となったものの、ピークの1990年分(6兆6,023億円)の約44%に過ぎない。
●  相続時精算課税制度に係る申告者は8万3千人
  所得税申告者のうち、譲渡所得の申告者は前年に比べ2.7%増の148万2千人。このうち所得金額がある人は同9.2%減の78万5千人、所得金額は同0.2%増の6兆7,107億円となった。このうち、株式等譲渡所得の申告者は同4.2%増の93万8千人、うち所得金額がある人は同15.8%減の48万7千人、所得金額は同15.4%減の2兆6,363億円だった。これらの申告者を除く譲渡申告者54万4千人は、前年を0.1%上回っている。
  一方、2006年分の贈与税の申告者は、前年に比べ8.2%減の39万7千人、うち納税額がある人は同1.5%減の27万1千人、その納税額は同0.9%増の1,177億円だった。1人あたりの納税額は43万円。贈与税の申告者のうち、相続時清算課税制度に係る申告者は8万3千人、うち納税額があった人は5千人、申告納税額は284億円だった。ほとんどが2,500万円(住宅取得資金3,500万円)の非課税枠内だった。
●  大幅に増加した申告書作成コーナーからの提出件数
  所得税の確定申告では年々納税者が増加傾向にあるが、その対応として国税庁は、確定申告の基本方針として「自書申告」を推進しており、そのためのIT(情報技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
  その目玉は、国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」だ。今年は、土地及び建物の譲渡所得に係る計算機能や贈与税の申告書作成機能を追加するなどした結果、同コーナーを利用して作成した所得税申告書の提出件数は、昨年を27.5%上回る161万件8千件、消費税申告書も同30.2%増の6万9千件と増加。今年から新たに提供を開始した贈与税申告書は1万8千件だった。
  同コーナーへのアクセス件数も、前年に比べ2.4%増の1,494万6千件となった。また、同コーナーについては、税務署に訪れる納税者にも利用できるように、相談会場にパソコンを設置しているが、これを利用して作成した申告書の提出件数が、所得税で160万件、消費税で5万8千件、贈与税で7千件となり、この結果、同コーナーで作成した申告書の提出総件数は336万9千件となった。これは、申告件数全体の13.5%にあたる。
●  e−Tax利用の所得税の申告件数は約14倍増
  一方、全国拡大後3回目の確定申告となるe−Tax(国税電子申告・納税システム)は、
  1)確定申告期間中の24時間受付
  2)作成コーナーからの直接送信
  3)税理士が代理の場合の納税者の電子署名等の省略
  など、利用者の利便性の向上を図った結果、所得税の申告件数が前年の3万5千件から49万1千件へと約14倍増、消費税の申告件数が同1万件から10万2千件へと約11倍増と、合計59万3千件と大幅に伸びた。
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2007.06.04
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