>  今週のトピックス >  No.1451
労働災害死亡の現状
●  労災死亡数は年々減少の一途
  労働災害の事故による死亡者数は年々減少しており、平成18年は1,472人と過去最低を記録した(5年前の平成13年は1,790人)。業種別にみると、建設業が508人であり相変わらず多く死亡者全体の約35%を占めている。次いで製造業268人、陸上貨物運送業198人、商業151人、林業57人と続く。
  死亡原因として最も多いのは、道路での交通事故であり、死亡者は385人となっている。陸上貨物運送業、商業建設業において多い。次いで墜落・転落死であり353人である。内訳は建設業で190人、製造業で46人などとなっている。第3位ははさまれ・巻き込まれによる死亡で189人、製造業79人、建設業45人となっている。激突が125人でうち建設業が39人と最も多い。
  労災による死亡者数が減少する一方で、重大災害は増加傾向にある。重大災害とは、3人以上が死傷または病気にかかった災害事故をいう。10年前の平成8年は218件だったが、18年では318件と5割増の勢いである。多い業種はやはり建設業、製造業である。原因としては交通事故、中毒・薬傷、火災・高熱物と続く。
●  過労死、自殺の労災は高止まり
  事故ではなく、「過労死」(脳血管疾患、虚血性心疾患)で労災と認定された件数は、平成18年度で147件であり、ここ5年間150件前後の件数となっている。死亡に至らない過労によると認定された件数は、平成18年度で355件であり、これもここ5年間300件前後の件数と高止まりとなっている。業種別には、運輸業、卸・小売業が多く、その2つの業種で171件と全体の半分近くを占める。職種では運輸・通信従事者が最も多い。
  精神障害などのメンタルな原因での自殺死亡が労災と認定されたものは、平成18年度で66件であり、前年度の42件より一段と増えている。死亡に至らない精神障害によると認定された件数は、平成18年度で205件であり、前年度の127件から倍増している。業種別には多岐にわたっているが、職種では専門技術職(システムエンジニアなど)、事務職、技能職(製造工、専門工事職)に多い。年代別では、30歳代が最も多く全体の約4割を占めている。
【精神障害による労災認定件数の推移】
【脳血管疾患・虚血性心疾患の労災認定件数推移】
出所:厚生労働省「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(平成18年度)」
および「平成18年における死亡災害・重大災害発生状況」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.06.11
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