>  今週のトピックス >  No.1452
消費税を慌てずに納税する方法
●  消費税の納税意識
  弊社は、「ベンチャー企業(起業家の方)を応援します」と掲げているため、新規設立された法人のお客様や、設立間もないお客様と接する機会が多くある。その中で最近、経営者の方々に是非お伝えしておきたいと感じるのが、「消費税に対する納税意識」である。
  中小企業であれば、設立当初は消費税がかからない法人の方が多いだろう。しかし、当然いつまでも消費税を払わずにいられるわけではない。いつかは消費税を払わなければならない時がやってくるのである。
  しかし、設立当初の時期を消費税免税で過ごしてきた経営者の方々は、どうしてもそれに慣れてしまっていて、いざ消費税を納税する時に、その準備ができていない、ということが多々あるように思う。
●  設立3年目の消費税のワナ
  どうしてそのようなことになるのか、消費税の仕組みを簡単に復習しておこう。
  まず、消費税がかかる会社なのか、かからない会社なのかというのは、その事業年度の2期前の事業年度の課税売上が1,000万円以下か超かで決まる。
  すると、疑問が出てくるのは設立1期目、2期目の消費税である。設立1期目、2期目というのは、2期前の事業年度が存在しないため、売上が1,000万円以下か超かという判断ができない。このような場合は、消費税は免税になるのが原則となっている(ただ、資本金1,000万円以上の会社については、一定規模の会社とみなされ、消費税の課税事業者になってしまう)。
  こうして、めでたく2年間を消費税免税で過ごせた会社に、やがて鬼門の3期目が訪れる。3期目の2期前の事業年度は1期目であるので、設立第1期の売上が1,000万円を超えた時点で、3期目は消費税の納税義務が発生してくることになる。
●  「消費税通帳」のすすめ
  しかも、消費税の納税が始まる最初の事業年度は、前年度の消費税納税額がないため、予定納税も発生しない。そのため、どの会社も例外なく、決算時期に1年分の消費税を一括納税しなければいけないのである。「どうしても日々の運転資金に消費税が消えてしまって…」というような場合、納税資金に困ることにもなりかねない。
  そんな場合、方法としては、消費税を毎月納付にする方法が考えられる。消費税法では、課税期間の短縮が認められており、課税期間を1カ月または3カ月に変更することができる。「課税期間」というのは、消費税計算における事業年度のようなものと思ってもらえればいい。「消費税課税期間特例選択届出書」という届出書を提出することで、毎月または3カ月に1回の納付に変更することができる。
  しかし、実際にはこの方法は現実的ではない。なぜならば、毎月消費税の申告書を提出する必要があるため、多くの事務コストがかかってしまうからである。
  そこで、現実的な方法として、「消費税通帳」を作っていただく方法がある。具体的には、税抜経理で作った毎月の試算表から消費税の納税予測をし、毎月の消費税分を「消費税通帳」に移し替えるというやり方である。決算のときに慌てることのないよう、日頃から消費税の納税意識を持っておいていただきたい。
(村田 直、マネーコンシェルジュ税理士法人)
2007.06.11
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