>  今週のトピックス >  No.1471
労使間での労働協約の状況
●  9割の企業で労働協約を締結
  厚生労働省は、民間企業での労働協約の締結状況を数年ごとに調査しており、平成18年の調査結果がこのほど発表された。
  まず労働協約自体はほとんどの企業において、労働組合との間で締結されている(締結率は89.0%)。5,000名以上規模の企業では97.2%であるが、100名未満の企業では79.5%であり、企業規模による締結率の差が見られる。
  労働協約を締結していない労組であっても、労働協約を必要であるとしている労組は66.3%にのぼり、「交渉中」または「近いうちに締結したい」と考えている。逆に必要でないとする労組も33.7%あり、その理由としては、「就業規則がある」ため、または「労働協約にしなくても労使間で守られる」ため不要と回答している。
●  協約内容を組合員に配付
  締結した労働協約を労組が組合員に周知させるのが望ましいが、何らかの手段で周知を図っているのが92.3%、特に周知していないのが7.5%と、ほとんどの労組で周知活動を行っている。具体的な周知手段としては、労働協約の内容を組合員に資料配付するのが51.8%、職場での回覧による周知が34.3%、インターネットでの掲示が24.0%、説明会による周知が同じく24.0%となっている(複数回答)。
  労働協約の内容は大きく分けて、組合活動に関する事項と労働条件に関する事項に分けられるが、組合活動に関する事項で関して労働協約を含む何らかの規定があるのは、チェックオフ事項が92.8%で最も多く、就業時間中の組合活動に関する事項が78.5%、団体交渉事項に関するものが76.2%、非組合員の範囲に関する事項が75.6%、団体交渉の手続き・運営が75.5%、労組による会社施設の利用に関する事項が75.4%となっている。
●  労働条件事項は大部分が規定済み
  一方、労働条件に関する事項は規定されている割合が高く、90%以上の労組で規定されているものだけでも、解雇、懲戒処分、定年制、雇用延長、給与・手当・退職給付に関する事項、労働時間や休日・有給休暇、育児休業、健康診断がある。
  逆に規定されている割合が低いものには、住宅管理制度、従業員の健康情報に関する取扱、連続休暇、みなし労働時間制などとなっている。そういった制度自体がない企業も多いためと思われる。
  また労働条件以外で規定されている割合が総じて低い事項としては、新分野進出に関する事前協議の事項、事業の廃止・縮小に関する事前協議の事項、事業所の国内や海外への移転に関する事前協議などとなっている。企業経営の監視が労組の役割とされているものの、その実態は不十分であるといえる。
出所:厚生労働省「平成18年労働協約等実態調査結果の概況」
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.07.17
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