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電子申告普及のカギはe-Taxソフト機能などの改善
●  2006年度に実施したe-Tax普及策に高い評価
  国税電子申告・納税システム(e-Tax)の利用件数は、2006年度には前年度に比べ8倍を超える伸びで105万7千件に達し、2007年度に入っても5月末現在で21万5千件と順調に伸びている。この一因として、e-Tax普及のために国税庁が実施した様々な取組みが功を奏したことが、国税庁が今年2月から5月にかけて実施した「e-Taxの利用に関するアンケート調査」で明らかになった。
  調査結果(有効回答数1,885人)によると、e-Taxの利用状況については、「開始届出書を提出し、すでに利用している」との回答が52.4%と過半を占め、「開始届出書を提出したが、利用していない」は22.0%、「開始届出書を提出していない(利用していない)」が25.6%だった。ちなみに、回答者の約7割は個人のほか、税理士(税理士法人)が約2割、法人が1割弱だった。
  e-Tax普及のために2006年度に実施した主な取組みについて「評価できる」と回答した割合は、「e-Taxを利用した還付申告の処理期間の短縮」が86.3%、「確定申告書等作成コーナーからe-Taxへの直接送信」が86.9%、「税理士関与の場合の納税者本人の電子署名の省略」が84.7%と、軒並み8割を超える高い評価となっており、2006年度に利用件数が大幅に増加した一因であることがうかがえる。
●  電子証明書取得やICカードリードライタ入手の手間・費用に不満
  一方、開始届出書を提出したが、e-Taxを利用していない理由(複数回答)では、「e-Taxソフトが使いづらい」(33.1%)、「ICカードリードライタの入手に手間がかかる」(31.9%)、「ICカードリードライタの入手に費用がかかる」(28.7%)、「電子証明書の取得に手間がかかる」(28.0%)、「添付書類の一部について別途送付する必要がある」(23.4%)などが挙げられた。
  開始届出書を提出していないe-Tax未利用者の理由(複数回答)については、「電子証明書の取得に手間がかかる」(46.3%)、「ICカードリードライタの入手に費用がかかる」(45.0%)、「電子証明書の取得に費用がかかる」(42.3%)、「ICカードリードライタの入手に手間がかかる」(32.8%)、「添付書類の一部について別途送付する必要がある」(24.9%)の順に挙げられている。
  e-Taxのさらなる普及のためには、e-Taxソフトが使いづらさを始めこれらの項目の改善がカギとなるようだ。
●  e-Tax利用の理由は「税務署または金融機関に行く必要がない」がトップ
  他方、e-Taxを利用者が利用しようと思った理由(複数回答)については、「税務署または金融機関に行く必要がない」(54.8%)が最も多く、次いで「パソコンを有効活用したい」(47.2%)、「税務署の閉庁時間でも申告書等の提出ができる」(47.1%)、「体験したかった、興味があった」(31.0%)などが上位に挙げられた。「税理士に勧められた」は5.4%に過ぎなかった。
  e-Taxで利用した手続き(複数回答)は、「申告手続き」が91.3%と圧倒的に多く、「申請・届出手続き」が37.2%、「所得税徴収高計算書」が27.3%、「法定調書の提出」が24.4%、「納税手続き」が22.2%などとなっている。また、e-Tax利用の際に使用したソフトウェア等は、「e-Taxソフト」が48.7%と最も多いが、国税庁のホームページから利用できる「確定申告書等作成コーナー」が27.0%、「市販の会計ソフト(会計事務所向けのソフト等を含む)」も24.3%だった。
同アンケート調査結果の詳細は↓
http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topicse18.pdf
(浅野 宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2007.07.17
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