>  今週のトピックス >  No.1481
法令遵守の取り組み目指す経営者が増加
●  経営者の7割、「法令遵守超える取り組み」目指す
  財団法人社会経済生産性本部の調査によると企業倫理の基本的な考え方について、経営者の7割が「法令遵守を超えたレベルの高い取り組み」を目指していることが分かった。
  この調査は、「経営者の志と倫理」について、わが国の経営者層が倫理的な判断に迷う「経営課題」を抽出し、これをめぐるガバナンスとマネジメントの動向に関する現状を把握する目的で実施された。財団法人社会経済生産性本部では、今後も本調査について経年的に実施し、経営者の志と倫理の変化を追っていく予定であるとしている。
  近年、企業の不祥事が相次いでいる。今の時代は、インターネットなどを通じ即時に情報が流れる為、悪いニュースはあっという間に広がり、経営に致命的な打撃を与えかねない。こうした中、経営者の意識も変わりつつある。今回の調査結果は、現在の企業を取り巻く環境における経営者の姿勢を表しているといえるだろう。
●  まだまだ差がある企業倫理に関するチェック機能の取り組み
  調査結果を見てみると、企業倫理の基本的な考え方については、「法令遵守のレベル」 と答えた経営者は27.5%と3割に満たず、半数近くの47.5%が「法令の範囲よりレベルの高い倫理行動」と答え、「法令の範囲よりレベルの高い倫理行動を基盤の上に実施する社会貢献行動」(24.7%)と合わせると7割を超える(72.2%)結果となった。
  また、経営トップが企業における不祥事の原因をどのように考えているのかについて自由記述式で質問を行ったところ、「社内の倫理観の欠如・社内風土」が一番多く、次いで「内部統制の不備」「経営トップの態度や方針が不明確」という結果であった。
  こうして見ると、経営者の多くが企業倫理の重要性を感じていることがうかがえるのだが、実際の企業倫理に関するチェック機能の取り組みにはまだまだ差があるようだ。今回の調査でも、倫理委員会の設置状況の質問では、「設けている」が50.0%、「設けていない」が48.8%と半々に分かれる結果となった。また、従業員に対する意識調査の実施状況の設問でも「実施している」が25.0%、「実施したことがある」が19.9%に対して「実施していない」が47.7%で、大きく分かれている。倫理監査の実施状況の設問にいたっては「実施していない」(54.5%)が「実施している」(29.4%)を大きく上回る結果となっている。
●  企業倫理への取り組みが信頼への第一歩
  企業で不祥事が起きる原因として考えられている社内の倫理観の欠如や社内風土は、従業員の満足度や資質によるところも大きい。従業員の不平、不満が大きくなればモラールの低下につながり、会社への帰属意識や仕事に対する熱意が失われる。こうしたことが社内風土を悪くし、倫理観の欠如へつながっていくのである。
  消費者の企業を見る目が厳しくなる中、経営者は従業員の働きがいを高めながら、より一層の法令遵守と企業倫理の確立を目指さなければならないだろう。
出所:財団法人社会経済生産性本部 経営者の志と倫理 実態調査 調査結果
(http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/mdd/activity000823/attached.pdf)
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2007.07.30
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