>  今週のトピックス >  No.1491
正社員転職者の現状
●  社員の5%は転職者
  雇用の流動化が進んでいるが、そのなかでハローワークを通じて転職の実態に関する調査が行われ、このたび報告された。
  今や企業内に正社員の転職者がいる事業所は54.3%であり、過半数で転職者がいる。また正社員全体に占める転職者の割合は、5.4%となっている。当然のことながら小規模事業所ほど転職者の占める割合は高い。また業種別では、不動産業、医療・福祉業において転職者の割合が高くなっている。
●  求められるのは専門スキル
  転職した正社員の職務内容は、男性の転職者では「専門的・技術的な仕事」(28.3%)、「生産工程・労務の仕事」(24.9%)、「運輸・通信の仕事」(14.5%)が多くなっている。一方、女性は、「専門的・技術的な仕事」(44.0%)、「事務の仕事」(22.7%)、「生産工程・労務の仕事」(12.3%)が多くなっている。やはり正社員の転職で求められるのは専門的な知識・スキルのようである。
  事業所側の転職者の求人・採用理由としては、「専門的・技術的、管理的な仕事」では、「経験を活かし即戦力になるから」(68.6%)、「専門的知識・能力があるから」(66.5%)、「退・転職者の補充のため」(48.7%)となっている。特に、1,000人以上規模の事業所では、「専門的知識・能力があるから」と「経験を活かし即戦力になるから」がともに8割を超えている。また、「事務、販売、サービスの仕事」と「保安、運輸・通信、生産工程・労務の仕事」では、「退・転職者の補充のため」(それぞれ60.4%、66.7%)の割合が最も高い。
●  今後の転職者は積極採用
  一方転職者を採用するに当たっては、課題も多い。正社員の転職者採用の課題は、「必要な職種に求職してくる人が少ないこと」(58.8%)、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」(48.6%)、「求職者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」(41.2%)となっている。
  今後3年間の正社員の転職者の採用予定をみると、「今後採用する予定がある」が53.8%となっている。規模別にみると、規模が大きくなるにつれて、正社員の転職者を「今後採用する予定がある」事業所割合が高くなっている。
  業種別にみると、「積極的に一般正社員の転職者を採用したい」は、「運輸業」(77.0%)、「飲食店・宿泊業」(61.2%)、「金融・保険業」(58.3%)で高くなっており、「新規学卒者より一般正社員の転職者を優先して採用したい」は、「鉱業」(46.6%)、「サービス業」(24.6%)、「教育・習支援業」(24.4%)で高くなっている。
出所:厚生労働省「平成18年転職者実態調査結果の概況」(平成19年8月)
(可児 俊信 ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2007.08.20
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