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外国人労働者を雇用する際の注意点
●  外国人雇用状況報告の義務化
  日本で学んでいる外国人留学生が日本国内で就職するケースが急増していますが、法務省入国管理局のデータによると2006年に就職するために在留資格を変更した留学生は前年より約4割増えて過去最高を記録しています。
  外国人の雇用の増加に伴い、改正雇用対策法が成立し、平成19年10月から施行されるにあたり、外国人(特別永住者を除く)を雇用しているすべての事業主は、外国人雇用状況報告をハローワークに提出することが義務化されることになりました。報告内容は、外国人の雇入れ・離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留資格・在留期限などで、これまでに比べて事務手続きは、かなり複雑になります。報告を義務付けることにより、外国人労働者全体の就労状況、不法就労の防止、外国人労働者の適正な雇用・労働条件の確保などを把握することができますので、政府としても今後不法就労等の取締りを厳しくしていくことと思います。
●  外国人を雇用した場合の社会保険関係
  外国人を雇用した場合、社会保険に加入する必要があるのかという質問がありますが、健康保険と厚生年金保険の社会保険の適用については、外国人労働者も日本人と同様に適用になります。なお、外国人の場合、厚生年金には被保険者期間が6カ月以上ある場合、脱退一時金制度がありますので、途中で帰国することになっても一時金として、一部戻ってきます。あとは国によりますが社会保障協定を結んでいる場合(例えばアメリカ、韓国、ドイツ、イギリスなど)には、年金加入期間が通算されますので対象の可能性のある外国人労働者には説明しておくとよいでしょう。
  外国人労働者に対する雇用保険・労災保険の取扱いについても、外国公務員および外国の失業補償制度の適用を受けている場合を除き、国籍を問わずに雇用保険の適用となります。労災保険についても外国人労働者も一律に適用となります。また労災保険はたとえそれが不法就労であったとしても、労働者は保護されることが法律で定められています。
●  外国人雇用の際には、まずパスポートと外国人登録証明書で確認
  外国人労働者は、言葉の問題や労働慣行に習熟していないなどによって、就労に当たって様々なトラブルが生じています。労働条件の明示・賃金に関すること・保険への加入など、事前に十分な説明を行い、トラブルを未然に防止することが大切です。実際採用担当者が説明することは大変なことですのでマニュアルを含めて図が入っているような分かりやすい資料を見せながら説明するのが良いと思います。また外国人労働者の立場にたって、仕事にやりがいをもってもらえるような環境作りを心がけることも忘れてはいけません。
  なお不法就労外国人であることを知らないで雇用した場合であっても、事業主が処罰されることはありません。ただし、よくあるのは不法就労であるとはっきり認識していなくても、状況からみてその可能性があるにもかかわらず、確認をせずにあえて雇用するような場合には処罰されますので、十分に注意が必要です。
  外国人の雇用に際しては、旅券(パスポート)または外国人登録証明書等により、「在留資格」「在留期間」を確認することが大切です。とくに「在留資格」については、就労活動が認められる在留資格かどうか確認してから慎重に雇用していただきたく思います。
出所:厚生労働省「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」
(http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/anteikyoku/gairou/980908gai16.htm)
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2007.08.27
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